深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 昭和木材 高橋範行社長

2021年11月10日 12時00分

高橋範行社長

木材は「適材適所」が重要

 昭和木材(本社・旭川)は、原木、製材から家具、住宅まで手掛ける木材の総合企業だ。創業は1913年で、今では全国各地に工場や営業拠点を構える。木材価格の国際的高騰「ウッドショック」が注目されるようになって約半年。高橋範行社長(67)に事態をどう見ているのか聞いた。

 ―春先は「ウッドショックは一時の現象」とする声もあった。現状は。

 全く収まっていない。米国の木材先物価格はピーク時より低いが以前よりずっと高く、世界的なコンテナ不足もほとんど解消されていない。販売価格の具体例を言えば、柱に使う長さ3mの角材が春に1800円前後だったところ、今は5000円台半ばだ。

 ―輸入材は契約してから約3カ月で届くはず。春の高値での契約分は一通り到着したのでは。

 それはウッドショック以前のサイクルで、最近は到着に6カ月かかる。4月の契約分が今頃入ってきて、10月の契約だと届くのは来年3―4月。少なくとも来春まで状況は変わりそうにない。

 ―ウッドショックの発端は米国の戸建てブームといわれるが、日本ではどうなっているのか。

 昨年の初めにコロナ禍が起きたとき、私を含めて日本の木材業界の誰もが、今後景気が低迷して家を建てる人も減るだろうと考えた。それで業界全体が調達を絞っていた。ところが、コロナをいち早く克服したとのことで中国が世界中の木材の買い占めに走った。日本は予想に反して需要が底堅く、必要な木材の供給ができなくなった。

 物流も似ている。国内外の船会社で、コロナで仕事が減るとみて古いコンテナを廃棄する動きが一部に出ていた。だが荷物は減らず、地球規模でコンテナ不足になった。

 ―昭和木材は価格高騰にどう対応したのか。

 在庫確保を優先し、手を尽くして木を仕入れた。というのも当社の顧客は住宅建築をなりわいとするハウスメーカーで、木がなければ仕事ができない。他社は調達できていないとも聞こえてくる中、極端に言えば採算を度外視して、われわれはどうにか必要量を確保できた。

 販売価格は4月から段階的に引き上げた。取引先も状況を理解してくれている。ここまでの半年を通算すると上げ幅は25―30%。状況次第ではさらに値上げをお願いせざるを得ないかもしれない。

 ―木材価格相場はいずれ元に戻るか。

 値上げ前の価格には絶対戻らないだろう。針葉樹材が特にそうだが、日本では今まで木材価格が安過ぎた。現相場は高過ぎるが、この中間ぐらいで落ち着いてほしいものだ。

 ―高い輸入材ではなく、国産材、道産材を積極的に使う考えは。

 そうしたいが国産はすぐに増産されない。特に道内は、木は豊富にある半面、乾燥機などの加工設備が十分でなく、建材として流通する量が元々少なかった。急に需要が出たといっても、山元も製材業者もすぐに対応できないのが実情だ。

 ―木材利用を増やそうと、公共施設などの木造建築も増えてきた。道産材にこだわる例も多い。

 地産地消は大いに賛成だ。ただ、コストや木の特性を無視して、木造・地元産材であれば良いという考え方には疑問を持っている。例えばトドマツでフローリング材を作ると、軟らかくて傷が付きやすい。家具ならテーブルの材料としては広葉樹の径級が細い国産材でなく、太い輸入材の方が美しく仕上がりやすい。「適材適所」が重要だ。

 ―木材の需要喚起策で何かアイデアは。

 高層ビルの屋上部分を木で造るのはどうか。最近はRC造の上にCLTを使うハイブリッドな木造高層建築も多数出てきた。全国のオフィスビルの屋上緑化を一歩進めて木の空間にすれば、利用者は癒やされ、木材使用量も増やすことができる。

(聞き手・吉村 慎司)

 たかはし・のりゆき 1954年、旭川出身。77年北大経済学部卒、三菱商事入社。83年昭和木材入社。東京支店勤務を経て旭川に戻り、94年専務、2017年社長就任。

(北海道建設新聞2021年11月8日付2面より)


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