4社共に減益 大手ゼネコン22年3月第2四半期決算

2021年11月12日 15時00分

3社は増収確保も、想定以上の利益率低下

 大手ゼネコン4社の2022年3月期第2四半期決算が出そろった。3社が増収を確保したものの、想定以上の利益率低下に見舞われ、4社共に減益となった。本業のもうけを示す営業利益は鹿島が前年同期比21.6%減にとどめたが、清水建設は77.2%下落し、工事損失引当金を計上した大林組は64.8%の落ち込みとなり、差が大きく開いた。連結売上高や営業利益、経常利益、純利益全てで鹿島が首位を走る。通期連結業績予想に対する売上高の進捗率は鹿島の46.6%を最高に大林組45.9%、清水建設41.7%、大成建設38.3%の順だった。

 堅調に推移する公共投資や持ち直しの動きがみられる民間工事の発注を背景に、4社の連結売上高総額は2.8%増の3兆1290億1500万円に上り、前年同期を863億8000万円上回った。しかし、連結営業利益総額は48.9%減の1109億6600万円、連結純利益総額が41.1%減の990億800万円と低迷した。資材価格の上昇や厳しい受注競争が工事原価に影響し利益面を圧迫。売上高に占める販管費比率の増加も打撃を与えた。販管費比率は大成建設が0.1ポイント抑制したが、3社は上がった。大林組の6%が最少。

 単体を見ると、受注高と完工高は大林組、完成工事総利益は鹿島、繰越高は大成建設が最も多かった。

 受注高は4社合計で2兆2343億2500万円と30.9%増えた。国内受注が好調で、柱となる民間建築は全社が伸ばし、大成建設、大林組、鹿島は官公庁土木も積み上げる。清水建設は前年同期の反動で官公庁土木が振るわなかった。

 完工高は清水建設と鹿島が減少。完成工事総利益は採算性悪化で全社下げた。

 完成工事総利益率は、前年同期の15%から11.4%に低下したものの、鹿島がトップで2桁台を維持した。大成建設は14.1%から9.8%、清水建設は12.3%から6.6%、大林組は12.8%から6.3%と1桁台に落ちた。大林組と清水建設は建築利益率で苦戦した。鹿島は建築(10.3%)、土木(14.7%)でも利益率が一番だった。

 繰越高は合計で12.5%増の8兆2292億7700万円。大成建設の2兆3000億円台が筆頭。大林組が2兆円台に乗せた。

 通期連結業績予想を修正したのが鹿島と大林組。鹿島は海外関係会社の業績向上で売上高や各利益を上方修正。大林組は売上高を上方、各利益を下方修正した。連結売上高は大成建設が1兆6400億円、大林組が1兆9600億円、清水建設が1兆5500億円、鹿島が2兆500億円を計画する。

 一方で連結営業利益を大成建設が900億円、大林組345億円、清水建設765億円、鹿島1095億円それぞれ見込むが、予想に対する進捗率は大林組55.9%、鹿島51.5%、大成建設27.5%、清水建設13.7%。工事進行に伴って追加工事の獲得や調達の圧縮などをし、採算が上向くかが注目される。

(北海道建設新聞2021年11月11日付2面より)

 北海道建設新聞2021年11月11日付2面には、4社の決算の詳細をまとめた表を掲載しています。閲覧は新聞本紙をご覧ください。


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