東海建設(本社・室蘭)は、ベトナム人技術者のヌウェン シュエン クィさんを正社員として採用した。コンクリートの専門家で講師や研究員などをしていたが「建設会社で頑張りたい」と入社。クィさんは「皆さんから温かい心をもらっている」と話し、戦力として期待されている。
39歳のクィさんは2005年にハノイ土木大を卒業。09年に同大大学院を修了した。ハノイで大学講師として働いていたが「高いレベルで勉強したい」と、16年に室蘭工大大学院建設環境工学へ入学。19年に修了し、同大で研究員をしていた。
東海建設で7月からインターンシップ生として研修。1週間ほど現場見学や安全のルールなどを学んだ後、室蘭開建発注の樽前山火山砂防熊の沢川2号砂防堰堤の現場に配属された。写真撮影や作業日誌の記入など施工管理に関する仕事を学び、9月16日付で正社員となった。
4歳下の妻と小学生の娘もすっかり北海道を気に入り、クィさんの大学卒業後も残ることを決めた。
ベトナム語と英語を話し、日本語を猛勉強中。週に1回はレッスンを受け、普段も仕事の昼休みや帰宅後に漢字の練習をするなど努力を重ねている。
同現場で代理人を務める角田英輔係長は「一生懸命な気持ちが伝わる。言葉の壁はあるが、2級土木施工管理技士を取得してほしい。現場を動かす人材としても期待している」と話す。
「この4カ月でいい経験をたくさんした。所属長であるボス(角田係長)や中田孔幸社長、菊地健一常務などみんな優しく、いつも温かい心をもらっている。東海建設で頑張りたい」とクィさん。「将来は他の現場にも行きたいし、測量機械やCADの勉強もしたい」とし、施工管理の業務習得と日本語の勉強にますます力が入る。
(北海道建設新2021年11月16日付9面より)