道内のサテライトオフィス開設数が全国最多に

2021年11月26日 15時00分

背景に安い賃料など 札幌市では進出促す補助制度も

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、2020年度末までに道内のサテライトオフィス開設数が全国最多となった。21年度は新型コロナ感染者数が減少しているものの、道内IT関連の有効求人倍率の低さやオフィス賃料の安さを背景に北海道を選ぶ企業は多い。さらに、札幌市ではスタートアップ企業を対象とした小規模企業進出を促す補助制度なども始まり、今後も開設数増加が予想される。(建設・行政部 出崎涼、経済産業部 宮崎嵩大記者)

 総務省の調査によると、地方公共団体が関与した20年度末までのサテライトオフィス開設は全国で916カ所だった。都道府県別に見ると、北海道が最多の86カ所で、徳島が77カ所、新潟が57カ所と続く。道内市町村別では、札幌市が49カ所で突出。次いで旭川市が10カ所、上士幌町と更別村が各8カ所、北見市が4カ所、室蘭市と釧路市、福島町、ニセコ町、長沼町、下川町、大樹町が各1カ所となっている。

6月に完成したエーエスシーのサテライトオフィス

 不動産のアットホームグループであるエーエスシー(本社・東京)はことし6月、札幌市内に道内拠点となるビルを建設。物件情報管理や不動産関連システム開発などを担うIT企業で、新たなビルはサテライトオフィスという位置付けだ。

 同社の湊芳之社長は「札幌出身者はUターン転職して自立したいと考える人が多い。東京都と比較しても金銭的に住みやすく『札幌で働きたい』という労働者側のニーズがある」と話す。現在、札幌オフィスでは約20人の社員が勤務。22年度にかけて10人ほどの地元人材を新規採用する考えだ。

 札幌市はこのような従来のオフィス整備に加え、小規模な企業誘致にも力を注ぎ始めている。ことし8月から、起業や設立7年以内のスタートアップ企業による市内への本社移転・拠点進出に対する補助と、コワーキングスペースなど企業立地や企業コミュニティー形成を促進する施設整備への補助をそれぞれ新設した。

 札幌市が目指すのは、企業の成長と循環だ。施設整備補助で安価に仕事場が確保できるコワーキングスペースなどを増やし、若い企業への金銭的な補助で進出をさらに後押しする。市担当者は「札幌に拠点を構える若い企業が事業とともに成長すれば、新たな産業の創出や既存産業との相乗効果が見込める」とし、そうなれば「市内の企業環境を求める新たな進出が生まれる」と狙いを説明する。既にスタートアップ企業への補助は、起業を含めて20件ほどの相談が届いているといい、期待が高まる。

 市内で進む再開発も企業誘致の追い風となっている。コワーキングスペース設置は市が定める容積率緩和の評価対象にもなっていて、今後完成するオフィスビルの多くに備えられる見通し。これらが2―3人で進出してくる道外企業の拠点として活用されることも考えられる。

 誘致に力を入れているのは札幌市だけではない。旭川市も進出を検討する企業の視察や滞在費を補助するなど、全道で道外企業をターゲットとしたオフィス誘致が活性化している。道内は首都圏と比べて有効求人倍率が低く、人材確保の面でメリットがあると捉える企業が多い。また、オフィス賃料の低さや雄大な自然をビジネスチャンスとし、公設のサテライトオフィスやテレワーク拠点がある地方を選ぶ企業もある。

 道経済部産業振興課の担当者は「首都圏の企業はサテライトオフィスやテレワークが普通の働き方に変わっている。これからも導入する企業は増えていくのでは」とみている。

(北海道建設新聞2021年11月25日付1面より)


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