概算事業費は最大で880億円
北海道開発局は25日、札幌第1合同庁舎で社会資本整備審議会道路分科会の第29回北海道地方小委員会(委員長・高橋清北見工業大教授)を開き、3路線の計画段階評価を実施した。第3回となる日高自動車道静内―三石間では、概算事業費に720億―880億円を試算する別線・市街地アクセスルート案(約21㌔)を対応方針原案に決定。第1回の道横断自動車道女満別空港―網走間と道横断自動車道蘭越―倶知安間は、各地域での意見聴取方法をまとめた。
計画段階評価は、道路事業着手前の段階で地域の政策目標を明確化し、複数の整備案を比較・検討する制度。
静内―三石間は、2019年12月の同小委で第1回計画段階評価を開始。20年7月の第2回でルート案に①別線・市街地アクセスルート(約21㌔)②別線・最短ルート(約20㌔)③別線・一部現道改良・市街地アクセスルート(約21㌔)―の3つを提示した。
ことし8―9月に実施した第2回地域意見聴取のアンケート、ヒアリング結果などを踏まえ、今回の別線・市街地アクセスルート決定に至った。
概算事業費は3ルートの中で最も安価。ルート帯が現国道や市街地から近く、アクセス性や津波災害時の代替性に優れるメリットがあるため、政策目標をかなえつつ地域要望に応えた形だ。
IC検討位置は、西側から静内市街地付近、東静内市街地付近、三石市街地付近の3カ所。本線の津波浸水範囲に配慮しながら、人口集積地からの利便性、拠点施設からのアクセス性を重視して検討する。
女満別空港―網走間は、女満別空港と網走市を結び、開通済みの美幌バイパスに続く約20㌔区間。
北網地域は小麦・バレイショなどの農産品、サケなどの水産品で全国トップクラスの生産額となる生産空間だが、物流拠点までの輸送に関して、市街地交差点、郊外部カーブ区間で速度が低下。
輸送時の安全性などが課題になっているほか、救急輸送ルートの確保、観光ルートの時間短縮、暴風雪による災害にも頭を悩ませている。
蘭越―倶知安間は、各町を結ぶ約25㌔区間。当該地域では国際的なリゾート開発が進み、観光圏がニセコ町、蘭越町まで急速に拡大。外国人宿泊数や宿泊施設数が急増している。
整備中の5号倶知安余市道路が完成すれば新千歳空港・札幌市から仮称・倶知安ICまでのアクセス性は向上するが、ニセコリゾート地区までは信号が連続。一般交通と観光交通が混在して市街地を通過するため、速達性と安全性が課題となる。
女満別空港―網走間、蘭越―倶知安間の2路線は、今後の意見聴取を経て、次回以降の計画段階評価で比較ルート案などが提示される見通しだ。
(北海道建設新聞2021年11月26日付1面より)