コロナ禍による外出自粛や在宅勤務で、多くの人が運動不足となりました。食事もデリバリーでカロリーの高いものを食べるようになったこともあって、太ってしまったという悩みを聞きます。コロナ太りというのだそうです。肥満はコロナ重症化のリスク要因であり、糖尿病や心臓病などの生活習慣病の原因でもあります。ここは肥満の解消に努めなければなりません。そこで、食事を見直してみましょう。
もちろん、食べる量を減らすのが手っ取り早いのですが、朝食抜きなどの極端な減食は、むしろ体に有害ですし、長続きしません。食事の内容を見直すのが得策です。食べる量を減らすのではなく、摂取するカロリーの量を減らすことができれば、肥満の解消が進みます。
1人前のカロリーで比較してみましょう。主食であるご飯は1膳で269㎉です。角食パンは1食で2枚ぐらいでしょうから316㎉です。パスタは1人前ソースなしで278㎉です。糖質を含む食べ物は結構なカロリーです。お肉では、ステーキは355㎉、トンカツは463㎉、カルビ焼肉は498㎉となり、やはり、脂質を多く含むお肉は高カロリーです。
一方、お魚はどうでしょうか。お刺身は種類にもよりますが、1人前で150㎉です。焼きサケは110㎉、焼きサンマは289㎉、焼きカレイは101㎉です。実は、お魚は低カロリーなのです。とくに、お刺身の低カロリーが目立ちます。
もちろん、たくさん食べれば高カロリーになるのですが、お魚中心の献立として、主食をやや控えめにするだけでかなりのカロリーを減少できます。1食当たり100㎉は減らせそうです。すると、1日で300㎉、1カ月で9000㎉減です。9000㎉減ると、体重は1kg減るはずです。半年で6kg減だと考えると相当な効果だと思います。
量は食べているから空腹に悩むことはありません。お魚と野菜の組み合わせなら栄養バランスも問題ありません。魚食は日本の伝統の食事ですが、素晴らしいポテンシャルです。お昼は刺身定食か焼魚定食でいかがでしょうか。ただし、ご飯はやや控えめで。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)