4月から移住体験住宅として運用
家を失った被災者のよりどころとなる応急仮設住宅。道内初の木造応急仮設住宅が16日、清水町で完成した。プレハブとは異なり、2年後も居住できる恒久仕様とした。5人の大工が中心になり、実働日数32日での完成を実現した。4月から移住体験住宅として2年間運用。道内の被災地に早期供給を目指し、温湿度や騒音など住環境を調査する。
道、道立総合研究機構北方建築総合研究所、全国木造建設事業協会、清水町が実証実験に協力。地元工務店の紺野建設を中心に施工した。工期短縮のため施工中にも設計変更しながら完成を急いだ。
建設地はJR十勝清水駅が近い北1条2丁目1の3。規模はW造、平屋の長屋で、延べ21m²の1DKと延べ31m²の2DKを備える。実証実験終了後は間仕切りと片方の水回りを撤去し、3LDKに変更。恒久的に活用することで仮設住宅の解体や整地の負担を減らす。
室内は壁を減らすことでコストを抑えた。間取り変更と暖房効率向上のため、撤去しやすいアコーディオンカーテンで仕切る。玄関以外はバリアフリーで、トイレと風呂は手すりを設けた。
灯油タンクを屋外、給湯器を屋内に設置する寒冷地仕様。外装材は道産カラマツを活用した。今後、居住者の意見を参考に収納スペースの大きさや暖房器具の配置を再検討する。
今回の実証モデルでは特定の災害を想定していない。川辺篤史道建設部住宅課指導係長は「施工手順の効率化や安全対策強化に向けた検証を進め、余震や強風による二次災害を防ぐ」と説明した。
(北海道建設新聞2021年12月24日付11面より)