えりも砂漠に緑を 100年かけて再生

 えりも岬沿岸に実在した砂漠の緑化を題材とした映画「仮称・北の流氷」の製作準備が進んでいる。浦河町出身の田中光敏監督がメガホンを取る。題材は町民らが中心となり1953年に始まったえりも砂漠の緑化事業。現在まで続くこの活動を探ると、世界的な潮流となっているSDGs(持続可能な開発目標)に息づく、持続的な活動の理念との結びつきが見えてきた。(苫小牧支社・小山龍記者)

えりも砂漠に緑を 100年かけて再生(下)緑化活動、風や塩害との戦い

2022年01月03日 12時00分

事業始まり68年、今も続く

 緑化の第一段階では、荒廃した土地を草で覆うための草本緑化を進めた。寒さに強いイネ科の種をまくも、強風の前に土ごと飛ばされた。木の枝の束やよしずをかぶせて保護を試みるが、コストや手間から十分な成果は出なかった。

 その中で飯田英雄さんの父、常雄さんが雑海藻を発酵させた「ゴタ」をかぶせる保護手法を考案。コストが安く、効果も十分見られたことから、えりも式緑化工法として確立した。

ゴタを大量に敷き詰め、種子を守った(えりも治山事業所提供)

 そして、事業開始から17年が過ぎた1970年、ついにえりも岬沿岸192㏊に草地が復活。第1段階が完了した。

 続いて、樹木を育てる木本緑化に移った。道内には自生しないクロマツが適しているとして植栽。風や塩害と戦い、水はけの悪い低地では排水路を掘削するなど工夫を重ね、木を植え続けた。

 事業開始から68年がたった今も続く。2020年度末時点で197㏊の木本緑化が完了。現在は道道襟裳公園線沿いの両脇にクロマツ林が広がっている。これに伴い、魚介類などの漁獲高は65年度の227tから20年度には1367tまで回復した。

 日高南部森林管理署えりも治山事業所の島下靖博治山技術官は「セミや鳥の声が聞こえるようになり、生態系が復活した」と語る。

 ただ、現在のクロマツ一種林では虫・病害が広がりやすい。加えて1㏊当たりの植栽密度も通常の5倍ほど(1万-1万5000本)あるため、シラカバやミズナラへの植え替えと間伐を進める。

 飯田さんと島下技術官は活動を途切れさせないよう、中高生に植林、枝打ちを通じて森の重要性を伝えている。

 飯田さんは「緑化は折り返し地点。取り戻すには100年かかる。昔のようにしないため、環境に対応しなければ」と活動の持続を誓う。

 映画「仮称・北の流氷」は23年の公開を目指している。浦河、様似、えりも、広尾の各町がふるさと納税などを使い資金を集めている。

(北海道建設新聞2021年10月29日付9面より)


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