開発局や道が関わる22年の主要事業・施策

2022年01月06日 10時00分

三笠ぽんべつダム本体に着工 ペンケ歌志内川広域河川改修も

かさ上げを計画している佐幌ダム(道建設部提供)

 新型コロナウイルス感染症の影響が続き、景気が冷え込む中、2022年は感染防止対策の継続はもちろん、本格的な経済の回復が求められる。新たな変異株という不安要素はあるものの、ポストコロナ、ウィズコロナを見据えた取り組みは徐々に拡大。さらに、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が2年目を迎え、海溝型地震や豪雨による大規模自然災害への対策にも一層力が入る。22年に北海道開発局や道などが関わる主な事業や施策をまとめた。

■流域治水を本格展開

 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策は、20年度第3次補正予算に初年度分が大規模計上された。21年度補正でも予算措置され、22年度はこの執行による加速化対策2カ年目が本格始動する。

 開発局などが22年度に直轄で実施する主な事業を見ると、幾春別川総合開発事業の三笠ぽんべつダムが本体工事に取り掛かる。18年の北海道胆振東部地震などをきっかけに本体工着手が保留となっていたが、このたび再始動。洪水調節による地域治水に貢献する。

 治水では、全道で策定された流域治水プロジェクトに基づくハード・ソフト整備を本格展開する方針。21年に網走開建の所管する常呂川水系河川整備計画を流域治水の観点を踏まえて変更したが、これを皮切りに順次整備計画の見直しを図る。北村遊水地、新桂沢ダムなどの整備も推進する。

 道路では22年度の開通区間はないが、21年度に取りまとめた「防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラム」で21―25年度に全線・部分開通する区間を明示。その路線数は約20区間に上り、24年度には道横断道阿寒IC―釧路西IC(17㌔)の全線開通を見込むなど、全国に先んじて明確な目標を多く掲げている。無電柱化の推進や、通学路の安全確保に向けた取り組みの補助も促進する。

 農業農村整備では、札幌開建の篠津運河中流地区、神竜二期地区、帯広開建の十勝川左岸二期地区、網走開建の斜里飽寒別地区が新規事業着手となる見通しだ。港湾・漁港関連では、気候変動を踏まえた高潮・高波対策として、岸壁や防波堤強化を継続する。

 また開発局は、外水氾濫の危険性を早期把握するための河岸浸食検知、ドローンの撮影映像を用いた河川巡視、堤防点検のAI解析などの実現に向け、22年度からAI技術の取り組みを試行する予定。検討ワーキング「AI/Eye River(アイ・リバー)」による検討を重ね、実現可能なものから本格運用を始める。

 AI活用は道路部門でも検討が進む。亀山修一北海道科学大工学部都市環境学科教授を委員長とする、積雪寒冷地における道路舗装の長寿命化と予防保全に関する検討委員会が21年12月に発足。近年、技術検討が目覚ましいカメラ画像、赤外線画像を活用したポットホールの検知技術、本道型SMA舗装の高耐久化などの現場投入を図り、本道技術を世界に発信する。

■強靱化へ対策着々と

 道でも強靱化に向けたさまざまな事業が予定されている。治水系では、帯広建管管内で佐幌ダム再生事業(新得町)を計画。佐幌川にある既設ダムをかさ上げし、洪水調整機能を増強することで被害の防止・軽減を図るもので、堤高は46.6mから49.5m、総貯水容量は1040万m³から1200万m³に変更となる見通し。総事業費は140億円を試算している。

 札幌建管管内ではペンケ歌志内川広域河川改修(歌志内市)に事業着手する見込み。延長7・6㌔の河道掘削を実施することで河積拡大を図る考えだ。旭川建管ではユクトラシュベツ川河川改修(南富良野町)、釧路建管では琵琶瀬漁港海岸高潮対策(浜中町)、友知海岸高潮対策(根室市)、浜中海岸堤防かさ上げ(浜中町)の事業採択を予定する。

 道路系は、北海道日本ハムファイターズの本拠地・ボールパークFビレッジへの連絡道路として新設するきたひろしま総合運動公園線(北広島市)、20年3月の豪雨に伴う融雪で被災したクチョロ原野塘路線二本松橋(標茶町)の災害復旧が22年度で完了する計画だ。

 建築関係を見ると、東京五輪・パラリンピックのマラソン競技開催で着工を2年間延期してきた道庁赤れんが庁舎改修で、本格的な工事に着手する。4月から庁舎全体をすっぽり覆う素屋根工事と、観光客らが工事の様子を眺められる仮設見学施設を整備。これらの工事は半年ほど続き、その後、壁にPC鋼棒を差し込んで補強する耐震工事のほか、防災、保存修理、公開活用の各工事を進めていく。25年2月の完成を予定している。

 道農政部が所管する道営農業農村整備事業の22年度新規採択地区は、48地区程度となるもよう。本紙調査によるもので、総事業費の合計は630億円前後とみられる。流動的な要素を残すが、空知は180億円程度、十勝は120億円程度となる見通し。21年度の単年度調査と2カ年調査2年目の地区を見ると、単年度調査は23地区、106億100万円、2カ年調査2年目は25地区、530億1000万円で決定している。

(北海道建設新聞2022年1月5日付1面より)


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