自分しかできない仕事を
新年あけましておめでとうございます。本年も、私に見えている世界を少しおすそ分けいたしたく存じます。お付き合いをよろしくお願いいたします。
さて、最近は、新年らしく、事業拡大について考えております。
一般に士業と呼ばれる専門職では、人月商売の事業所が多いです。自分が稼働した分だけ、売り上げが立つのです。一人親方と同様です。
売り上げを増加させるためには、契約件数を増やし、数多くの仕事をする必要があります。しかし、一人でできる仕事量には限界があります。行政書士などの隣接法律専門職には、「補助者」という制度があります。行政書士の補助者であれば、その資格をもって、官公署に提出する書類の作成や提出をしたり、住民票などの証明書類を請求することができます。そこで、補助者を雇用して、業務量の増加に対応するのです。必要書類については補助者の方が詳しいと言われる事務所もあるほど、欠かせない存在です。
ただし、補助者はあくまでも補助のための存在です。業務を補助者任せにすることは認められません。一人親方としてプレーヤーであることが求められると感じます。
プレーヤーの反対の立場はマネジャーと言われています。ここでは、自分で仕事をするのをプレーヤーで、人に仕事をさせるのをマネジャーと定義いたします。人に仕事をさせた方が、自分で仕事をするより大きな成果を出すことができます。資格と経験知をもって業務を行う隣接法律専門職の業界でも、マネジャーとなって人に仕事をしてもらうことは可能なのでしょうか。
参考になる一つ目の職業は税理士事務所です。税理士事務所では、スタッフが顧客を担当し、日々の相談にのっています。スタッフに顧客対応も含めた日常業務を任せています。つまり、長期的な業務や定型的な業務が多い場合は、組織の構築を行いやすく、人に仕事してもらうこともできるでしょう。
大手の弁護士事務所や監査法人では、多くの弁護士や会計士がそれぞれの専門性を生かして活躍しています。仕事をする人も専門性を有すれば、彼らをマネージングする業務も生まれるようです。
私が師と慕う一人が、「誰かができる仕事は誰かにやらせればいい。自分にしかできない仕事をしなさい」と言いました。それを聞いた頃は、有資格者だからこそ行政書士業務ができると思っていました。しかし、それから時がたち、行政書士業務であっても、補助者を活用すれば、「私にしかできない仕事」ではないと気づきました。
「今、自分にしかできないこと」は、刻一刻と変わります。人に仕事をさせながら、どのように事業を拡大させることができるかを考えています。
(北海道建設新聞2022年1月7日付3面より)