人員の確保、配置に苦心
11日から12日にかけての大雪により道東では交通機関のまひや停電など、市民生活に大きな影響が出た。維持業者が昼夜を問わず懸命に除雪作業に取り組む一方、オペレーターの不足が浮き彫りとなった。
十勝管内では、11日午前9時―翌日同時刻の降雪量が帯広市で59㌢と統計開始以降最多を記録。道東道と帯広広尾道、国道が通行止めとなり、管内路線バスの全便運休、ごみの収集中止など市民生活にも影響が出た。
雪は湿って重く、帯広市民は除雪や立ち往生した車の救出に追われた。永井工業(本社・中札内)の永井俊浩社長は「維持業者としては徐々に降ってくれたらいいのだが、70㌢も一気に降られては困る。災害だから仕方ない思いもある」と漏らす。「除雪は夜通しで作業して昼に休む。作業員のなり手が少なく、各地でドカ雪となると人の手配も厳しさを増す。昔は地元農家が手伝ってくれたが、今は難しい。農業協同組合などとの連携や外国人材の活用で若い人を確保できないものか」と担い手確保の重要性を実感する。
東光舗道(本社・帯広)は、帯広市道の除雪を担当。橋本和昭工務課長は「毎年12月までに1、2回は積雪があるが、今シーズンの初出動は遅かった。今回は一気に雪が降り、しかも湿っていて重い」と話す。「除雪車はバック事故が多いので、乗用車や電柱などの構造物、住民との接触事故防止を第一に取り組む。出動前には車両の後方をしっかり確認してからバックするようオペレーターに呼び掛けている」と安全第一を強調した。
オホーツク管内では、JRの特急や市内・都市間バスが軒並み運休。北見自治区は12日、ごみ収集を中止せざるを得なかった。北見市都市建設部道路管理課の担当者は「市民生活に影響がでないよう、今後の状況を注視し、委託業者と連携、情報共有を図りながら取り組む」と話した。
国道除雪を担う北見市内の業者は「人員配置、人員確保に苦心している。新型コロナウイルス感染防止対策のためオペレーターを固定しているが、降雪が続くようだと昼夜問わずの連続作業となるので、社員の健康管理にも一層気を配る必要がある。発注者側と情報を密にしながら万全の体制を整え、今後に備えたい」と心境を明かした。水分を多く含み重い雪質のため、管内の維持業者は危機感を持ち、凍る前に迅速に除雪した。
釧根管内は12日、JR釧路―札幌間の特急が全線運休し、厚岸町、浜中町、釧路市阿寒町、根室市、別海町で停電が発生。標津町では強風と着雪によって沿岸地域の電柱が倒れたり、電線が切れたりする事態が生じた。
釧路管内に本社を置き釧路市内の除雪を請け負う業者は「市民からの苦情の問い合わせが多く、オペレーターを増やしたいが集まらない。どこの企業も同じだと思う」と頭を抱える。
地域の安心安全を守る維持業者の重要性が再認識された。非常時にも対応できるよう、人材を確保する体制づくりが急務だ。