白糠町で漁場可視化調査 渋谷潜水工業渋谷社長に聞く

2022年01月19日 15時00分

海の変化察知し早期対策を

 2021年、道東の基幹産業である水産業は太平洋沿岸で発生した赤潮により大きな打撃を受けた。白糠町の依頼を受けて渋谷潜水工業(本社・神奈川県平塚市)が漁場の可視化調査を実施。渋谷正信社長は、海藻が減少・消失する磯焼け被害も全国的に拡大傾向の中「海水温の上昇をはじめとした変化を早めに感じ取らないといけない」と警鐘を鳴らす。調査の内容や海の管理の在り方を聞いた。(釧路支社・堀内 翼記者)

渋谷正信社長

 ―調査の目的と内容は。

 白糠漁港の取扱高は約15億円あったが、近年は12億―13億円に減少。持続可能な漁業を見据え「海の見える化」をする必要があった。21年8―10月に、白糠町庶路から釧路市音別町までの沿岸海域を調査。専用の装置で海底や海中、海面の潮の流れやプランクトンの状況、05年度以降に道営事業の一環で整備されたヤナギダコの産卵礁、カニの育成場所に問題がないかを調べた。

 ―調査結果について。

 無人探査ロボットで海底の様子を撮影すると、ヤナギノマイやシラミカジカ、ババガレイ、アオゾイ、マダコ、ボウズギンポ、毛ガニが生息していた。生態系としては悪くなく、私も白糠町の生まれだが、こんなにも多くの魚がいるのかと驚いた。コンブの生息も確認でき、これからは増やし方を考えないといけない。海藻はCOを吸収するため、ブルーカーボンの観点からも注目されている。

 ―日本の海の現状は。

 これまで日本の海を約60カ所調査したが、磯焼けの被害が広がっている。鹿児島から宮崎、高知、和歌山、三重、静岡、神奈川と黒潮に乗って北上している。アワビの産地だった長崎県五島列島・小値賀島では、15年前に3億円あった漁獲高が300万円まで減少してしまった。

 人が食べる海藻には目が向くが、お金にならない海藻には関心を持たない。これが続くと、気が付いた時には焼けてしまっている。海はつながっていて、被害は対岸の火事ではない。可視化の良い点は、変化がすぐ分かることで、病気と同様に悪化する前に気付くことが大切。食べられないコンブもウニの餌として用いる例があり、活用の幅や価値は広がっている。海の管理は受け身ではいけない。早め早めの対策を意識してもらいたい。

 渋谷正信(しぶや・まさのぶ)1949年1月3日、白糠町生まれ。民間企業での勤務を経て海への強い思いから潜水士に。80年に渋谷潜水工業を設立し、レインボーブリッジや東京湾アクアライン、羽田空港滑走路など大型海洋事業を手掛けた。一般社団法人海洋エネルギー漁業共生センターの理事として、魚の生息にプラスの効果が見込める洋上風力発電の推進や海洋調査に取り組む。


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