出荷量伸び悩み 企業努力でのコスト吸収限界
道内のアスファルト合材工場で値上げの動きが広がっている。原料のストレートアスファルトや骨材に加え、製造時に使うA重油の購入価格が高騰しているため。多くの地域で出荷量が例年より伸び悩む中、企業努力によるコスト吸収は限界を超え、各工場は舗装会社などユーザーに対して値上げ要請の文書を出しながら厳しい実情への理解を求めている。
アスファルト合材の製造コストが上昇した背景には、主原料のストレートアスファルトの価格高騰が大きい。ガソリンや軽油など石油製品と同様、原油の精製過程でできる連産品で、原油相場の影響を受けて昨春から値上がりが続いている。
道内の大手特約店や燃料商社によると、石油元売りのストアス卸価格は秋に一時下がったものの、おおむね昨年4月から値上げ一辺倒にあり、上昇幅は12月で2万7000円に積み上がったという。経済調査会の積算資料によると、1月時点の道内ストアス価格は1㌧当たり10万3000円で、1年前に比べ2万8000円高い。
足元では、ニューヨーク原油先物市場が18日に1当たり87㌦と約7年3カ月ぶりの高値を付けた。油価高騰に収拾の気配がない中、道内のストアス値上がり幅は3月で3万円台に乗ると予想されている。
アスファルト合材の製造時、骨材の加熱乾燥に使うA重油も価格高騰している。フィラー(石粉)は1000円から1200円の改定が進んでいて、砂や砕石もダンプ運賃の是正などを要因に値上がり傾向にある。
製造コストの上昇を受け、道内の合材工場は昨年秋から値上げに踏み切るところが相次ぐ。おおむね1㌧当たり1000円から2000円を改定予定で、舗装工事会社などユーザーに文書を出しながら理解を求めている。
北海道アスファルト合材協会によると、道内の合材生産量は2021年4―12月で約225万㌧となり、前年同期に比べて10%ほど少ないという。21年度トータルは過去最低の240万㌧ほどを見込んでいて、業界はコスト増と生産減の二重苦にある。
札幌市内のある合材工場幹部は「現状の工場運営の中ではコスト吸収はできず、大幅な価格改定を考えざるを得ない」と話し、実勢を反映した資材単価の打ち出しを発注機関に望んでいる。