デジタル森林浴に注目 個人販売も視野に

2022年01月30日 09時00分

十勝の自然体験 フォレストデジタルが開発

十勝の自然環境を疑似体験できる

 フォレストデジタル(本社・浦幌)が開発した「デジタル森林浴」がもたらすリラックス効果に注目度が高まっている。東京のシェアオフィス運営会社から受注したほか、今後はホテルや医療・高齢者施設などに広げつつ、自宅の浴室でも味わえるような個人向け販売も視野に入れる。

 同社は、2017年に浦幌町の地域課題解決に取り組むワークキャンプに参加した大手IT企業元社員らが中心となり、19年に設立したベンチャー企業。「テクノロジーは私たちを幸せにしているのか」という問いに挑む。今回発表したデジタル森林浴の「uralaa(うらら)」は、部屋の壁や天井をマルチスクリーンにして十勝の自然環境を疑似体験できる投入型空間技術だ。

 リラックス効果は、同社のデジタルパートナー参画団体である国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所(森林総研)が、21年2月に東京都内の銀座アートホールで被験者計25人を対象にした実験で確かめた。

 森林総研の高山範理上席研究員によると、安静時とデジタル森林浴体験中の比較で、心拍数が下がり副交感神経活動が上昇して生理的リラックス効果を確認。体験前と体験後の心理的状況は、回復感が上昇し、不安や落ち込み、怒り、疲労、混乱といったネガティブ感情が低下したことが分かった。リラックス効果の理由や実際の森林環境との効果比較に関し、近く学術論文として公開する。

 uralaaはクラウドを使って配信し、利用料は月額5万8000円(税抜き)。現時点で十勝の自然風景を中心に100以上のシーンを体験できる。初期費用として専用パソコンセット購入に約20万円が必要だが、プロジェクターや音響は既存のもので対応可能。当面は企業と自治体が対象で将来的に個人契約も視野に入れる。辻木勇二CEOは「心の健康が損なわれている人は少なくない。自分たちが関わってきたインターネットで解決したい」と話す。

 VR・ARデバイス市場は、21年の9億㌦(約1024億円)から26年には56億㌦(約6300億円)に拡大すると予測され、仮想体験に対する市場の期待が高まっている。
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