道内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから28日で丸2年になる。オミクロン株で再び感染が急拡大する道内。19日に初めて1日の新規感染者数が1000人を突破したが、27日には2800人も超え、道内全域にまん延防止等重点措置の適用が始まった。デルタ株が主流だった第5波までは、札幌市や旭川市など都市部が中心だった感染も今回は全道域で急増。2年経過してもコロナ禍の混乱から抜け出せない状況が続く。(建設・行政部 佐藤朋紀、佐々木潤記者)

業務が逼迫する札幌市保健所(市保健所提供)
鈴木直道知事は25日の対策本部会議で、全道域に感染が広がる状況を危惧。道内には医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な地域も多くあり、高齢者に感染が広がって入院患者が増えると、一気に医療提供体制が逼迫(ひっぱく)し、社会経済が機能不全に陥ることも懸念されるためだ。
道は第6波の兆しが見えた今月中旬、経済団体に対して事業継続計画(BCP)の点検・策定を進め、事業継続の準備に入ることを会員企業に周知するよう要請。過去にはなかった要請で、オミクロン株の感染力の高さと危機感をうかがい知ることができる。鈴木知事は「長きにわたる戦いになっているが、爆発的ともいえる感染拡大に直面している。いま一度、一丸となってこの難局に立ち向かわなければならない」と訴えた。
札幌市もこの2年間、感染症対策を最優先事項に位置付け、感染対策と社会経済活動の両立に向け保健所への応援増強など対応に奔走した。
劇的な効果が期待されたワクチン接種は、昨年7月の供給量不足に伴い市も接種対応の見直しを迫られ、職域接種にも影響が出た。
冬の風物詩のさっぽろ雪まつりは感染拡大から2年連続のオンライン開催とした。回復の兆しが見えかけた矢先、感染の再拡大で観光業や飲食業は苦戦を強いられる。
市はことしに入り感染者急増で保健所体制強化を進めた。各部局から応援職員を送り通常の3倍となる900人体制で逼迫する保健所業務に当たる。一部窓口業務で時間がかかる可能性を呼び掛けるなど業務にも徐々に影響が出始めている。
26日の記者会見で秋元克広市長はこの2年間を「非常に長い時間にわたって感染症の影響が続いている。さまざまな経験値に基づき対策してきた」とし「市民に対応の変化が十分伝わっているか、非常に難しいとあらためて感じた」と振り返った。
近く発表する市の22年度予算案では新たな成長推進枠や行動変容などを踏まえた追加補強枠、コロナ禍の実績を踏まえた事業再構築を推進するリビルド枠を設けた。ポストコロナを見据え積極的な予算編成が想定される。
道もウイズコロナの経済を確立しようと、この1年間で脱炭素化の取り組みを加速。「グリーン×デジタル」の相乗効果で本道の活性化を狙う。その象徴として、鈴木知事は再生可能エネルギーと雪氷冷熱を活用した国内最大規模の次世代データセンター誘致に努める考えを示す。
行政は道民・市民の生命と生活を守るという強い使命感を持って対応に奮闘する。経済再興でもDXやゼロカーボンを取り入れるなど、柔軟性と迅速性が求められる。感染症を契機に本道は大きく変わろうとしている。