「稼げる自治体」目指す エネの地産地消で脱炭素へ
石狩市はエネルギーや物流の拠点である石狩湾新港を擁し、近年は洋上風力発電の誘致や大型小売チェーンの進出など産業集積が加速している。加藤龍幸市長は脱炭素への貢献も通じて「稼げる自治体」を目指す考えだ。

加藤龍幸市長
-産業振興に向けた考えや政策は。
多様な業種を誘致したい。港があって、190万都市の札幌に近いのはアドバンテージだ。
新港地域では2020年3月にスーパーホテルが、21年4月にはコストコがオープンするなど、従来の製造業や卸売業だけではない企業進出が進んでいる。10年前にはさくらインターネットがデータセンターを建てた。新たなIT企業の誘致にも動いている。
都市計画審議会では企業進出の規制緩和を議論し始めた。時代に沿うよう柔軟に対応したい。コストコ周辺の用途地域緩和も議題になっている。
-再エネや脱炭素関連の誘致に向けては。
脱炭素に大きく貢献する街を目指す。全ての電力需要の再エネ供給を目指すREゾーンで、エネルギーの地産地消を進めたい。20年12月議会ではゼロカーボンシティを宣言した。
港湾区域では23年の運転開始を目指し、グリーンパワーインベストメントが洋上風力発電の開発を進めている。一般海域の石狩湾沖も準備区域に位置付けられ、昇格していけば脱炭素に寄与でき、雇用と投資が生まれる。
-洋上風力の拠点港化にも意欲的だ。
石狩湾沖では7者が環境影響評価に進んでいる。仮に洋上風力ができれば、近くに拠点港があるのが好ましいだろう。速やかに期成会を立ち上げ、国へと要望を上げていく。
石狩湾新港東地区で新たな埠頭用地の整備計画が進んでいる。その兼ね合いもあるが、現行では部材保管の広さが足りないのは確かだ。石狩湾沖での発電事業が決まれば、新たな港湾整備が期待できるのではないか。新港にはまだ整備の余地がある。道、小樽市と協議したい。
-市の人口が減る中、世帯数は増えている。
昭和40-50年代に転入した方々が高齢になり札幌のマンションなどに流れている。一方、若者世代が札幌などから多く入ってきていて、特に樽川地区は人口が急増中だ。宅地は少なくなっている。
子育て施策の観点では現在、ある公園内で児童館を建設中だ。都市公園法の改正に伴い、公園内に建設できる施設の種類が増えたことを受け、全国でいち早く活用した。子育て支援の充実が狙いだ。
-今後のまちづくりに向けた意気込みは。
成長中の石狩湾新港に傾注して税収増、人口増に力を入れたい。稼ぐ力を持つことが住民を守ることになる。税収をインフラ整備などで住民に還元し持続可能なまちづくりを進めたい。(聞き手・高田陸)