未利用地を企業に紹介 道外での知名度向上が課題
人口減少が止まらない道内にあって、恵庭市はここ数年住民が増え続けている。札幌のベッドタウンとしての発展のほか、企業誘致も好調だ。土地不足となる中、原田裕市長はさらなる工場立地に向けて未利用地の活用を促す考えだ。

原田裕市長
-KIECEのどの市も札幌へのアクセスの良さをうたう。恵庭ならではの強みはなにか。
札幌との近さに加えて、高速道路のジャンクションが至近で道東にも道南にもすぐ向かえる。新千歳空港はもちろん苫小牧港へも車で1時間かからない。さらに言えば平らな地形で、街に坂が少なく高齢者や子育て世代に負担が少ない。農業は多品種栽培であらゆる野菜が地元産で安く買える。企業の利便性と、住民の暮らしやすさを兼ね備えるのが強みだ。
-工業団地が完売し、売る用地がない。
新たな工業団地を整備しようと、候補地選びの事前調査を始めた。だがそれ以前に、市が今までに売却した不動産で使われていない土地が計20㏊近く存在する。市で積極的に紹介し、新たな企業進出につなげたい。中には年月が過ぎて所有者不明になっている土地もあって、早急に状況を整理しなければならない。
-人口は2019年秋に初めて7万人を超え、その後も微増が続く。道内ではまれな地域だ。
10年前は当市でも減少傾向だった。増加の一因は食品工場など雇用の多い企業が増えたこと。また、このところ札幌の地価や住宅価格が極端に値上がりしているのも背景だろう。家を求める人が郊外に目を向けるようになり、通勤に便利な恵庭に転入者が増える傾向にある。私たちに限らず、札幌がどう変化するかによって、周辺地域が受ける影響は大きい。
-今の地域課題は。
新千歳空港と札幌の間で、通過地点になってしまっていることだ。どう立ち止まってもらうかがこれからの課題。残念ながら知名度が低く、首都圏で移住フェアに出ると恵庭がどこにあるのか知らない来場者が大半だ。ことし6-7月に本市で全国最大級の緑化イベント「ガーデンフェスタ」が開かれるのをきっかけに、道内外に魅力を発信したい。
-KIECEの他市と協力する可能性は。
千歳とは19年に連携協定を結んで、例えば救急体制など、一部事務の共働を始めている。合同で首都圏での移住相談や、当市の弱い部分だった観光プロモーションも実施した。
KIECEという新しい捉え方で期待してもらえるのはありがたい。各市が特長を発揮して切磋琢磨(せっさたくま)するのが大切で、札幌と共に北海道発展の原動力になるだろう。私たちも多くの強みを生かした街づくりを進めたい。
(聞き手・吉村 慎司、おわり)