WTO、秋までに公告 函館開建
函館開建は2022年度、北海道縦貫自動車道七飯―大沼間のオオヌマトンネル本坑に着工する。WTO政府調達協定対象で、夏から秋ごろまでに入札公告したい考えだ。工期は25年度末までを想定。掘削延長や工法、入札参加要件などは22年度予算の示達後に具体化させる。
北海道開発局の22年度の新規国庫債務負担行為設定工事に盛り込まれた。期間は4カ年だ。
道縦貫道は函館市を起点に室蘭市、札幌市、旭川市、士別市、名寄市などを経由して稚内市に至る延長約681kmの高速自動車国道。このうち函館開建は七飯―大沼間10kmを整備している。
七飯町西大沼地区の蓴菜沼付近から仁山地区の国道5号付近を結ぶオオヌマトンネルの本坑は延長約7km。完成すれば自動車用トンネルとしては道内最長となる。
トンネル等級は最高のAAで、非常用施設基準に基づき火災時の避難路の設置が求められる。17年度からトンネルの30―40m西側に避難坑(約7km、幅員4.7m)を先行整備している。開発局としては初の避難坑を有するトンネルとなる。
片側1車線で車道片側3.5m、路肩片側1.25mの全幅9.5m。一部に非常駐車帯となる拡幅部を設ける。
ルートには火山砕屑岩類や溶岩類が分布し、火山活動に伴う熱水で変質した区間の存在を想定。大きな地圧や高圧の湧水が予測され、複雑で脆弱(ぜいじゃく)な地質での工事となる。
高い技術が必要となることから、同様の地質条件で整備中の避難坑で掘削に関する知見を重ね、本坑にフィードバックしている。避難坑が順調に進み、本坑も精度の高い設計が可能になるなど条件が整ったとして、22年度の本坑掘削開始を決めた。
工法や工区を分けるかどうかなど詳細は今後詰める。同じ条件での避難坑は2工区に分割し、NATM工法の両押しで施工している。七飯町市街側の峠下工区を大成建設・伊藤組土建・斉藤建設共同体、大沼公園側の西大沼工区を大林組・岩田地崎建設・森川組共同体がそれぞれ担当。工期は西大沼工区が24年度末まで、峠下工区が25年度末までとなっている。
本坑の25年度以降に掘削する区間についても、引き続き避難坑の掘削を踏まえて知見を重ねながら、施工スケジュールを固める考えだ。