リーンマネージメントで生産性改善 中小企業でも積極導入を
阿部建設(本社・小樽)コンソーシアムなどは1月31日、監理技術者の負担軽減と生産性改革をテーマとした公開見学会をオンラインで開いた。労働生産性向上を図る試行の内容を紹介。中小企業が最新技術を導入する際のヒントも伝えた。
阿部建設を代表に環境風土テクノ、北大、立命館大、北海道産学官研究フォーラム、建設IoT研究所で構成するコンソーシアムは、2021年度の国土交通省「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択された。小樽開建発注の5号仁木町銀山大橋P5橋脚で、IoTなどを用いた労働生産性の向上を図っている。
この日、阿部建設の後藤辰男常務は中小建設業のリーンマネージメントと生産性改善をテーマにビデオ講演。施工過程の無駄や無理をそぎ落とすリーンマネージメントの考え方は、建設業にも反映できるとした。
続いて試行を紹介した。遠隔臨場で移動時間を削減。手間がかかる鉄筋現場検査では、360度カメラで撮影した鉄筋の全景をクラウド上で事務所と共有する。クラウド上で指示された任意の箇所を写真計測し、現場での3次元再構築が約10分で、その結果を事務所に送信して検査を受ける手順が30分以内でできることを確認した。
その後、有識者6人が情報提供。阿部建設の佐藤昌宏土木管理部長は、監理技術者と現場代理人を兼務している場合、業務量と心理的負担が大きいことを指摘した。魅力ある業界にするために新しい取り組みが求められると強調。「BIM/CIMなど中小企業で新しい技術を取り入れるのは簡単ではないが、まずは使ってみるという発想への意識改革が必要」と述べた。
立命館大理工学部の建山和由教授は、大手と比べて新技術導入に障壁がある中小建設会社に向け、「情報と成果を共有し、互いに技術力を高め合う工夫が必要」と指摘した。映像活用CIM研究会の須田清隆副代表は、革新的技術の導入・普及には、社内でキーマンを育てることが成功の秘訣(ひけつ)だと主張。「キーマンが社内で指導者になると、周りが聞きに行くようになる」と、波及効果が生まれることを説いた。