深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り クラッソーネ 川口哲平CEO

2022年02月15日 12時00分

川口哲平CEO

街の循環再生促進目指す

 クラッソーネ(本社・名古屋)は、解体工事の一括見積もりウェブサービスを運営するベンチャー企業だ。約1万件以上の工事契約実績を持ち、全国の自治体と連携協定を結び、活動の輪を広げている。川口哲平CEOに起業の背景や空き家問題のポイントを聞いた。

 ―どんなサービスか。

 物件情報をウェブ上に入力して施主と登録企業をマッチングするサービス「クラッソーネ」は、複数の企業の見積もりを確認して発注できる。補助金などの情報提供も進めている。不動産会社などとも連携しているため、解体後の家財処理や土地の売買など一括でできるが、一部の地域での実施にとどまるため、連携の輪をさらに広げたい。

 ―起業に踏み切った背景を。

 元々「豊かな暮らしの場」に興味があったのと、大学在学中にITベンチャーの成長を目の当たりにして自分もやってみたいという憧れから起業した。

 マッチングサービスの着想を得たのはハウスメーカーの営業時代。持ち込まれる相談は住宅新築よりも処分に関する内容が多かった。ヒアリングを重ねると、〝ホームページを持っている企業が少なく調べにくい〟〝比較ができず相場が分かりにくい〟という声があり、マッチングへのニーズがあると感じた。

 ―現在の空き家問題をどう見るか。

 地域差がある。特に地方は都心部より空き家の用途が見つかりにくいことや、所有者が遠方に住んでいるケースが多く、より深刻になっている。空き家対策としてうたわれるのはリノベーションなどが主だが、限界があるのではないか。高齢化や人口減が進む日本では「使えない使われない空き家」の解体も同様に推進することが肝心だ。

 空き家除却は後回しにされやすい。要因は大きく分けて2つある。1つは税金問題や家財の片付け、土地の処理などやるべきことが多いためだ。タスクが多いと人は面倒に感じ、放置しがちになる。もう1つは負担が大きい解体費用に伴う金銭的問題。北海道など寒い地域は雪も放置の要因だ。そのうちに二次相続、三次相続と引き継がれ所有者が不明瞭になり、処分しにくくなる。この面倒な問題を自社のサポートで解決できたらと考えている。

 ―目指すビジョンは。

 街の循環再生を促進したい。今の日本は新しい物をどんどんつくって豊かになるというフェーズではない。建物をリサイクルしたり、そのまま活用したり、循環再生を当たり前にしたい。うまく循環させることが豊かな暮らしを後押しする。

 ―なぜ屋久島にオフィスを。

 循環と再生の島と聞き、屋久島にオフィスを設け、2018年に家族全員で移り住んだ。自然やそれを大切にする地元住民らと接する中で、循環再生への思いはより強くなった。

 また、リモートワークが成り立つか実験の意味合いもあったが、今のところ支障は出ていない。自宅と職場が遠く離れていても仕事が成り立つのなら、暮らしの自由度が高まる。これは過疎・過密問題の解決や「豊かな暮らしの場」の創造につながる。

(聞き手・鈴木 穂乃花)

 川口哲平(かわぐち・てっぺい)1983年1月25日生まれ、愛知県出身。京大農学部地域環境工学科を卒業後、セキスイハイム中部に入社。6年間の営業経験を経て2011年4月にクラッソーネを設立した。


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