鉄道・運輸機構は、掘削ルートをふさぐ岩塊により掘削を停止していた羊蹄トンネルの比羅夫工区で、3月上旬から岩塊除去に着手する。調査結果を基に有識者の意見を踏まえ対策工法を決定。掘削ルート横に小断面トンネルを掘り、岩塊を取り除く計画だ。
倶知安町とニセコ町にまたがる延長5569mの比羅夫工区は、奥村組・日本国土開発・札建工業・山田組特定共同体によってSENS工法で掘削。2019年度から本格着工し、24年の完成を見込んで工事を進めていた。
21年7月、札幌側に位置するトンネル坑口から3468m地点で岩塊が見つかり、シールドマシンを停止。ボーリング調査などの結果、シールドマシン停止位置からトンネル掘削方向に約15m先まで岩塊が広がっていることが確認された。
調査結果を踏まえた対策工法として、掘削済み部分からNATM(山岳)工法による小断面トンネルで岩塊までアプローチし、細かく砕いて除去する方法を採用。小断面トンネルは岩塊までの限定的なトンネル工事となることを踏まえ、地下水位低下工法や掘削補助工法を併用したNATM工法が合理的と判断した。
現在は、水抜きボーリングや資材調達を進めており、3月上旬から小断面トンネル坑口部の補強作業に着手、4月から小断面トンネル掘削に取り掛かる予定。岩塊除去が順調に進めば、23年度後半には工区の掘削を再開したいとしている。