本間純子 いつもの暮らし便

 アリエルプラン・インテリア設計室の本間純子代表によるコラム。

 本間さんは札幌を拠点に活動するインテリアコーディネーターで、カラーユニバーサルデザインに造詣の深い人物。インテリアの域にとどまらず、建物の外装や街並みなど幅広く取り上げます。(北海道建設新聞本紙3面で、毎月第2木曜日に掲載しています)

本間純子 いつもの暮らし便(17)家具の搬入と室内レイアウト

2022年02月10日 11時21分

 引っ越しの季節がまもなくやってきます。転勤、入学、待望の新居へという方、多いのではないでしょうか。引っ越しはかなりの大仕事ですね。今回は、引っ越し時の家具の移動や室内レイアウトについて、インテリアコーディネーターの備忘録からピックアップしてお届けします。転ばぬ先の杖となりますように―。

 まず、引っ越しで用意しておきたいのが、新しい住まいの間取り図(平面図)です。寸法が入っていたらうれしいですが、内覧時に室内を測りながら、荷物や家具の搬入ルートを確認する方が効率的かもしれません。

 手に持てる荷物や小さな家具は問題なく移動できますが、分割できない大きな家具や横に倒せない冷蔵庫などの家電、ピアノなどは搬入経路をしっかりチェックします。廊下はスムーズに移動できるか、ドアはちゃんと通れるか、階段や段差があるところは天井の高さも要チェックです。

 ドアは建具枠の有効寸法のほかに、レバーハンドルや開いたドアの厚みも含め、確実に通れる寸法を測ります。せっかく買い替えたマッサージチェアが〝ドアに阻まれて泣く泣く断念〟という悲しい事件がありました。どのように通るか、しっかりシミュレーションしましょう。

 家具を室内に配置する時は幅、高さ、奥行きを把握し、使い方や見え方をイメージします。例えば壁面にチェスト、本箱、デスクを配置するとします。家具それぞれの幅の合計が壁面幅より少なければ理論的に配置可能です。

 でも、差が20㍉以下の場合は要注意。壁が床に接するところに回っている巾木は、木製の場合10㍉ほどの厚みがあります。それが両側の壁にもあるので、正面の壁の横幅から20㍉引いた数字が、家具を置ける計算上の寸法です。床面で測ると、ほぼ間違いありません。本棚の本と違い、たった1㍉でも家具は入らないのです。

 家具の測り方も大事です。家具は幅、高さ、奥行きそれぞれの一番出ているところを測ります。タンスやチェストは、台輪や天板が本体より大きい場合があるので、気をつけましょう。また、扉は開いた時の手前に出る寸法や、開く角度も確認しておきます。

 引き出しは、引いた状態で自分の立つ位置と、かがんだ時にお尻が後ろの壁などに当たらないかをチェックします。引き出しの前は900㍉程度の空間があると大丈夫です。

 家具は、ドアやカーテンと干渉しないかもチェックしましょう。家具のためにドアが開ききらず、毎日カニ歩きで通るのは不便ですし、カーテンレールなどで家具の扉や引き出しが使いにくいのも困りものです。

 住む人の動線を踏まえた使いやすさと見た目の良さが、家具レイアウトの目指すところです。もし時間が許すなら、平面図に家具を書き込み、使い勝手のシミュレーションをしてみましょう。新しい暮らしのイメージが描けるはずです。

 家具は、配置を少し変えただけでも気分が変わります。引っ越しの予定がない方も次の休日に家具を動かしてみませんか?週明けのテレワークがサクサク進むかもしれません。


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