耐震開口フレームで中層木造建築に新たな可能性

2022年02月12日 10時00分

耐力を既存品の最大7倍に J建築システムが開発

 J建築システム(本社・札幌)は、4―5階建ての純木造建築を可能にする高耐力開口フレームを開発した。同社の既存品に比べて耐力を3―7倍にアップ。大きな開口部を耐震壁と同様に扱うことで、木造軸組工法でも中層の集合住宅やオフィスなどを建てられる。SDGs(持続可能な開発目標)、脱炭素を背景に建築物木造化の動きが拡大する中、建設業界に広くアピールする。

 製品名は「新J―耐震開口フレーム」で2月から売り出した。窓や吹き抜けなどに向くボックス型と、車庫や玄関に適した門型があり、ボックス型は断面寸法150×300mm、門型は150×330mmの部材を使う。

 フレームの角の部分は鉄筋2本とボルトで接合した上で、引っ張り強度が鋼板の5倍というアラミド繊維シートを貼って固定する。強度は、例えば左右の柱の距離が4.55mの場合、ボックスは短期許容せん断耐力30kN、門型は同22.6kNとなる。

 中高層建築は今までほとんどがRC造かS造で、一部の木造中層建築は特殊な技術・認定工法を必要とするため、大手以外では参入が難しかった。J建築のフレームは通常の木造軸組内で使えるため、一般的な強度計算による設計や、多くの工務店に普及している軸組工法での施工が可能となる。

 手塚純一社長は「都市部での木造建築が増えればCO₂削減や温暖化防止に貢献できる。建物の荷重が小さくなることで構造躯体のシンプル化、施工の省力化につながり、1、2割程度のコストダウンにもなる」と強調する。

 フレームは新築だけでなく、今ある建物の柱や梁の内側に取り付けることで耐震補強にも活用できる。受注すると、道内各地の指定協力工場で生産して現場に運ぶ仕組み。地元産の木を使えるため、環境保護や地域林業振興にも役立つとしている。

 従来品は戸建て5000戸強をはじめ、セイコーマート北海道大学店、宮部金吾記念館といった有名施設、ニセコ地区のホテルなどでも採用され、出荷実績は1万件を超えるという。

 今回の技術開発には、道の2020年度「環境産業関連製品技術開発振興事業」による助成金を活用。信頼性を担保するため21年7月、日本建築センターから「木造4階建ての集合住宅を建てられる技術」として評定を取得した。


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