大手ゼネコン4社 22年3月期第3四半期決算
大手ゼネコン4社の2022年3月期第3四半期決算が出そろった。清水建設を除く3社が増収を確保したものの、建設コストの上昇が止まらず採算性が低下し、全社が営業減益となった。本業のもうけを示す営業利益は鹿島が前年同期比11.7%減にとどめたが、清水建設は65.1%、大林組は46.9%それぞれ下落し、苦戦が続く。鹿島は投資有価証券売却益の増加で特別損益が改善し、最終的なもうけを表す純利益が上回った。連結売上高や営業利益、経常利益、純利益全てで鹿島が首位を走る。通期連結業績予想に対する売上高の進捗率は鹿島の71.3%を最高に、大林組70.2%、清水建設64.7%、大成建設61.3%の順だった。 底堅さを維持する公共投資や大型再開発案件が次々と始動する民間需要を背景に、4社の連結売上高総額は4.2%増の4兆8680億1400万円に上り、前年同期に比べて1965億1300万円押し上げた。利益率低下傾向を受け、施工量で吸収しようとしたが、連結営業利益総額は37.9%減の2111億9500万円、連結純利益総額は29.3%減の1838億7200万円と低迷した。受注競争激化や主要資材高騰が工事原価に影響し、収益を圧迫。売上高に占める販管費比率のアップも打撃を与えた。販管費比率は大成建設が横ばいを保ったが、3社は上がった。大林組の6%が最少。
単体を見ると、受注高は清水建設、完工高は大林組、完成工事総利益は鹿島、繰越高は大成建設が最も多かった。
受注高は4社合計で3兆5506億8600万円と20.6%増えた。国内受注が好調で、柱となる民間建築は全社が伸ばし、大成建設は官公庁建築、大林組と鹿島は官公庁土木も積み上げる。清水建設は前年同期の反動で官公庁土木が振るわなかった。大成建設は海外の建築も伸長した。
完工高は清水建設のみ減少。完成工事総利益は採算悪化で全社下げた。
完成工事総利益率は、前年同期の14.5%から11.6%に下回ったものの鹿島がトップ。大成建設は14.8%から10.9%にダウンしたが、2桁台を守った。大林組は13.4%から8.1%、清水建設は12.4%から7.4%と1桁台に落ちた。大林組と清水建設は建築利益率が6%台と低調に推移し、土木利益率も急降下。建築は鹿島の10.3%、土木は大成建設の16.3%がそれぞれ最も高かった。清水建設は建築(6.3%)、土木(11.8%)とも最下位だった。
繰越高は合計で11.7%増の8兆2669億8700万円。大成建設の2兆4000億円台が筆頭。大林組と清水建設が2兆円台に乗せた。
通期連結業績予想を修正したのが鹿島。海外関係会社の業績向上で売上高や各利益を上方修正。第4四半期に工事損失引当金を計上する予定の大林組は変更がなかった。
連結売上高は大成建設が1兆6400億円、大林組が1兆9600億円、清水建設が1兆5500億円、鹿島が2兆800億円を計画。4社全てが増収を見込むが、利益面では3社が減益、鹿島が経常増益とした。