サウナを通じたまちづくりも
トウマ電子工業(本社・当麻)は、除菌脱臭器やパウダーアイスメーカーなど多岐にわたる商品を製造する。設立時はブラウン管テレビの電子銃製造会社だったが、時代の流れに合わせて多角化を推進。近年はサウナを通じたまちづくりを掲げる当麻町に賛同し、キャンピングカーにサウナを内蔵したサウナバスを手掛ける。

コロナ禍で除菌脱臭器が注目されている
1972年に創業し、間もなく50周年を迎える。当初は東芝のカラーテレビや航空機に使うブラウン管用電子銃を大量生産していた。最盛期には上川、上富良野両町に工場を設置し、400人ほどの従業員を雇っていたという。
やがて、液晶テレビの普及により電子銃の需要が減少。一転して電子銃に代わる新たな市場開拓を迫られた。

只野憲弥社長
4代目の只野憲弥社長は「一時期は仕事がほぼゼロに近い時もあった」と振り返る。少しでも仕事がもらえるよう、至る所を走り回り機会を求めた。人との出会いが大事だと感じた経験を糧に積極的に人と会う。
レントゲンや空港の荷物チェックに使われる特殊電子管や、遠赤外線シートなど多岐にわたる商品を製造。「損失を抑えられるよう、4―5人で製品を作れる体制を整えた」と説明する。
spe(本社・大阪)が開発したイオン発生素子を使い除菌脱臭器を組み立てる。大量に発生したクラスターイオンが壁や床のウイルスや菌を抑える。中型機や車載用の小型機などを作成し、合わせて4000台を販売。コロナ禍の現在は問い合わせも増え、主力事業となりつつある。
製作中の除菌脱臭器は、空調設備に取り付け家中を除菌換気する。イスラエルの会社が開発したイオン発生装置を使い、3月末の完成を目指す。「ハウスメーカーと協力して新築物件に付けられるようにしたい」と意気込む。
パウダーアイスメーカーは16年から製作を始めた。液体を機械に投入すると、粉雪のような氷ができるかき氷機で、80台ほど販売した。飲食店のほか道内では幼稚園や高齢者向け住宅などに搬入している。
21年にはサウナバスの製作に挑戦し、サウナで地域創生を目指す町を後押しした。キャンピングカーの内部にサウナ施設を付けたもので、町産のトドマツを使った。
原価意識の向上を経営方針に掲げ、社員教育に取り入れる。一例としてインターネットで買い物を済ますことを挙げる。「仮に現地購入した方が安かったとしても、運転に1時間かかったとすれば、その時間だけ無駄なコストが生まれる」。社員へコストに関する考えを深め、より一層の意識付けを図る。
現在の売上高は約2億円。今後5億円を目標に掲げる。