2路線新規事業化を妥当と判断 静内三石にトンネル新設へ

2022年03月08日 12時00分

国交省の社整審 分科会地方小委

 国土交通省が設置する社会資本整備審議会道路分科会の北海道地方小委員会(委員長・高橋清北見工大教授)は7日、札幌第1合同庁舎で第30回会合を開き、国道235号日高自動車道静内三石道路静内―東静内間、国道236号帯広・広尾自動車道大樹広尾道路豊似―広尾間の2路線について、2022年度新規事業化を妥当と判断した。静内三石道路静内―東静内間では延長2kmのトンネル1本、橋長450mの橋梁1基などを計画。大樹広尾道路豊似―広尾間では橋長230m、120mの橋梁各1基を新設する見通しだ。

 日高道静内三石道路静内―東静内間は、新ひだか町静内神森―同町東静内を結ぶ8kmが事業区間。全体事業費約520億円を見込み、計画交通量は1日当たり7700台としている。

 計画縦断図上ではトンネル1本(延長2030m)、橋梁8基(橋長450m、60m、50m、40m1基、90m、30m各2基)を予定する。

 日高地域は、今後30年以内の大規模地震の発生確率が高く、国道235号の静内―東静内区間の約85%が津波によって浸水すると想定されている。235号が寸断された場合、自衛隊による救援救助活動の遅延などが問題となる。

 また、同地域は全国生産頭数の約8割を占める全国一の軽種馬産地。この輸送の安定、安全性の確保が課題だ。

 このほか、心筋梗塞や脳卒中などの急性期医療を担う医療機関がなく苫小牧、札幌の両市にある高次医療施設に依存している状況。両市への速達性が求められている。

 同路線整備によって、大規模災害発生時には浸水区間ゼロの代替路を確保。輸送する馬に掛かる負担が軽減できる。また、高次医療施設カバー人口の増加が見込める。

 帯広・広尾道大樹広尾道路豊似―広尾間は、広尾町紋別―同町ラッコベツの12.3km区間。全体事業費は約480億円を試算し、計画交通量は1日当たり4100台を見通す。

 事業区間は盛り土がメイン。構造物は橋梁9基を計画し、橋長は230m、120m、60mが各1基、70mが2基、30mが4基としている。

 現道の国道336号は津波予測範囲を通過し、有事の際には広尾町の孤立が危ぶまれる。また、同区間では地吹雪などによる重大事故が全道国道に比べ高い割合で発生。安全性の確保が物流、医療面からも必須となっている。

 同路線の整備で道路の多重性が確保。事故危険区間を回避し、高次医療施設への速達性が向上する。

 委員からは、両路線に関して「2車線区間として早く路線をつなげるのも大事だが、整備後の4車線化についても進めるべき」との意見が上がった。


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