開発局が公表
ブルーカーボンによる二酸化炭素(CO₂)貯留効果を確認―。北海道開発局は、釧路港の島防波堤近くに埋設した人工の藻場が、少なくとも年間1.9t程度のCO₂を貯留していると公表した。この効果は、森林の単位面積当たりの吸収量と比べ2.4倍に上る。開発局が主導する検討会が貯留効果の定量化を実施。新たなCO₂吸収源として、ブルーカーボンのインベントリ登録(温室効果ガス排出・吸収目録)に向けた政府の動きに拍車を掛けそうだ。
釧路港沖合の島防波堤には、浚渫土砂を利用して造成した背後盛り土がある。この浅瀬部(水深マイナス1m)に2006年度、3600m²の藻場を設け、以来新たな水生動植物の生息環境創出を図っていた。
近年では温室効果ガス削減の動きとともに、ブルーカーボンの概念が世界的に広まった。海藻などの働きで海中の生態系に蓄積される炭素のことで、炭素吸収源としての役割が期待されている。
開発局はこれらを踏まえ、釧路港の藻場に着目。藻場にはスジメ、ガッガラコンブなど10種を超える植物のほか、動物プランクトンや魚類などが生息している。これらの総量は毎年把握。さらにはブルーカーボンによるCO₂貯留効果を表す手法が最近明らかになった。
これらを基に、北海道港湾ブルーカーボン定量化検討会が海藻類によるCO₂貯留効果を換算。結果、少なくとも年間で1m²当たり0.53㌔の貯留効果が認められた。
開発局は、釧路港島防波堤に今後数年間で約4万m²の藻場を整備する計画。完成すれば、年間22.9t程度のCO₂貯留が期待できる。これは森林10万4000m²程度に相当するという。
政府はブルーカーボンのインベントリ登録を目指すほか、地方自治体によるカーボン・オフセット制度を検討する方針。今後は地方自治体で藻場造成を進める機運が高まりを見せそうだ。