札幌国際芸術祭が23年度冬季開催へ 小川秀明氏に聞く

2022年03月21日 10時00分

アート思考でビジネス見つめ直せ

 札幌国際芸術祭(SIAF=サイアフ)が2023年度、初めて冬季に開かれる。夏から秋にかけて3年に1度開催していたが、20年度はコロナ禍で中止になり、次回が6年ぶり。アート思考はビジネスでも重要な役割を果たすと説く小川秀明ディレクターに構想を聞いた。


 小川秀明(おがわ・ひであき)1977年5月生まれ。東京都出身。2007年からオーストリア・リンツ市を拠点に活動。アートを触媒とした市民参加型コミュニティーの創造など国内外のプロジェクトを手掛けている。

 ―札幌の印象は。

 リンツ市(オーストリア)と同じく、ユネスコ創造都市ネットワークのメディアアーツ都市に加盟していることからトークイベントなどで何度か訪れている。札幌には東京ではできないような新しい実験を始めようというクリエイターが多い印象を受けた。

 ―コロナ禍で文化芸術活動は大きな影響を受けたが

 札幌に限らず、昨今の不安定な情勢で芸術関連活動が危機的な状況にあるのは間違いない。これまでの、いわゆる〝飾り〟としてのアートに加え、行動や発明を生み出す〝原動力〟としての役割が新たに求められていると感じる。特に、アート思考はビジネスの場でも重要な役割を果たす。

 ―具体的にどのような役割を。

 解決策を生み出すのがデザイン思考であるとすれば、アート思考は問いを生み出す行為である。根本的に常識を疑い、考え直す際にアートから学ぶことができる。例えば情報技術を使った作品を見ることによって、情報技術が持っている課題や問題を考え直すことが可能だ。

 進むべき方向が定まっているビジネスでデザイン思考は有効だと言えるが、アート思考の特徴は360度見渡して試行錯誤すること。不安定な時代では両方の創造的な力をあらためて認識する必要がある。

 ―次回のSIAFではどのように表現するのか。

 キーワードは「雪と未来の実験区」。札幌市民にとって日常生活に深く根付いている雪をきっかけに、当たり前をもう1回考えてもらいたい。

 雪は変形の象徴でもあり、さまざま姿で存在している。100年後、200年後の未来に向けて何ができるのか、アート思考で見つめ直してほしい。未来に向けた新しい実験区をアーティストだけでなく市民と一緒に作ることで、新しい〝創造エンジン〟の舞台にしたい。

 ―SIAFの構想について。

 大きく2つある。1つは未来を構築する教育や文化インフラとしての芸術祭だ。教育としての文化の役割を体感できる「未来の学校」を札幌の街全体に作る。地下の巨大な融雪槽など、さまざまな物が学び場としての可能性を秘めている。

 2つ目は、新しい物への挑戦や生まれ変わりの手助けとなる芸術祭だ。アーティストや地元のイノベーターに対して、24年が起点となるようなイノベーションのきっかけづくりをしたい。(聞き手・室谷 奈央)


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