前年度並みを確保 インフラ整備、道半ば
道路、ダムの事業再開箇所も
国交省北海道局が21年12月に公表した22年度北海道開発予算は、前年度比0.1%増の5702億円(国費ベース)。うち一般公共事業費に当たる北海道開発事業費を見ると、0.1%増の5588億6800万円となった。
額面だけ見ると微減だが、これは前年新設したデジタル庁に各事業で関係するサーバー、システムの維持管理費などを一括計上する仕組みに変わったため。22年度当初はデジタル庁への一括計上分が19億5400万円で、21年度は20億3000万円あった。これらを差し引いた額で対比すると、22年度当初は0.1%増を示す。
22年度当初予算に21年度補正予算を合算した額は、20年度第3次補正を含む前年度予算額と比べると、6.2%減の7129億2500万円と減少。その原因は、20年度第3次補正が大規模補正だったことによる反動減で21年度補正と20年度第3次補正の額と比べると約500億円の差がある。
20年度に閣議決定した「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に関する初年度予算が、同年度第3次補正で大規模に措置。21年度補正でも同様に加速化対策予算が計上されたが、初年度の規模には及ばなかった。
19年度からわずかずつながら上昇していた15-16カ月予算としての開発事業費は、4年ぶりの減少に転じることになった。だが、日本の食料基地であり、インバウンドをけん引する立場である本道のインフラ整備はまだまだ道半ば。道路部門一つ取っても、新規事業化を待ち望む路線が多数ある状況だ。
当初と補正の合算額同士の比較では、道路系は6.2%減。22年度当初では前年度比43億円増額の2186億円を確保している。主な事業を見ると、21年度に事業再開が決定した北海道横断自動車道足寄-陸別間の本格化、日高自動車道静内三石道路静内-東静内区間、帯広・広尾自動車道大樹広尾道路豊似-広尾間の新規事業化が見込まれている。
22年度に新規国債設定した主な工事は、道路ではトンネルで国道5号新稲穂(5カ年)、国道239号苫前、道縦貫道函館名寄線オオヌマ(各4カ年)の3本。橋梁は国道235号大節婦川橋(3カ年)とし、それぞれの工事がぶら下がっている各高規格道路建設事業を推進する。
治水系は、石狩川幾春別川総合開発のダム建設と付帯工事に5カ年の工期。建設を保留していた三笠ぽんべつダム本体を推進する。
農業農村整備は、国営かん排芽室川西地区帯広かわにし導水路建設、同宇遠別川地区美咲排水機場改修をそれぞれ2カ年で施工する見通しだ。
開発局の22年度直轄事業見通しによれば、オオヌマトンネル本坑に着工する道縦貫道七飯-大沼間に最大41億円を投入。5号新稲穂トンネル建設を含む国道5号倶知安余市道路共和-余市間には最大112億円を投じる。
治水は9.7%減で、平取ダムの完成が減少に少なからず影響を与えたもようだ。半面、胆振東部地震などをきっかけに本体工事着手が見送られていた、三笠ぽんべつダム建設事業が再開。今後の工事本格化に期待が掛かる。
また、流域治水プロジェクトの取り組みを推進。ソフト面に目を向けると、開発局は、当該流域に関わる者全員が治水に意識を向けるためのコミュニケーションツールについて検討している。住宅や農地が浸水した際の被害規模をリスク指標として示すことで、防災・減災への当事者意識を促す狙いがある。河道掘削などハード面整備も促進する。