セイノーHDとエアロネクスト 人口減少地域の物流インフラに
ドローン配送サービスに共同で取り組むセイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市)とエアロネクスト(同・東京)は17日、山梨県小菅村や上士幌町での実証実験をオンラインセミナーで紹介した。人口減少の進む地域で次世代物流インフラを目指す取り組みだ。2022年度にはドローンの有人地帯で自律・自動での目視外飛行(レベル4)解禁が見込まれることから、活用本格化に期待がかかる。

上士幌町では荷物を個人宅に届けた
北海道経済産業局と札幌商工会議所が主催した「ドローン物流最前線セミナー」にセイノーHDの河合秀治執行役員と、エアロネクストの田路圭輔社長が登壇した。
両社は新スマート物流「SkyHub」の社会実装に取り組んでいる。小菅村では「ドローンデポ」と呼ばれる配送拠点を設置して食料品や日用品を保管し、村民の注文に応じて商品を箱詰め。ドローンに搭載して注文者から最も近い専用スタンドに届けている。注文から最短30分で届き、配送料は1回300円だ。
21年4月からサービスを続け、人口700人の村で230回のドローン配送を実施した。スタンドは集落ごとで5カ所に置いている。他には買い物代行や物流各社の荷物を一括配送する共同配送に取り組んでいる。
上士幌町では21年10月、ドローンによる個人宅への荷物配送や牛の検体の配送を実験した。今後、配送拠点のドローンデポを常設する計画だ。一連のサービスを商業ベースに乗せる上で、上士幌町ほどの「人口5千人が1つの目安になる」(田路社長)という。
両社がドローン配送の実現を目指す背景には、トラック積載や輸送網の非効率など物流業界の課題がある。国土交通省によると、営業用トラックの積載効率は1993年度は55%だったが、18年度は44%に低下。並行して貨物配送は小口化と多頻度化が進んだ。
16年には物流総合効率化法が改正され、輸配送の共同化や、貨物輸送を鉄道や船舶に転換するモーダルシフトの推進が掲げられたが「特にB2B輸送はなかなか効率化されていない現状」(河合執行役員)だという。
一方、20年度の宅配便取り扱い個数は前年度比12%増の48億3600万個に上り、EC市場の成長などに伴い増加傾向だ。ドライバーの高齢化や人材不足も背景に、ドローン本格導入による物流の効率化が期待される。面積が広大で人口の点在する本道でも導入メリットは大きそうだ。