費用負担大きく存続は困難 バス転換巡り意見分かれる
鉄路存廃で意見分かれる―。富良野市は22日、JR根室本線富良野―新得間の存廃に関する第1回住民説明会を東山公民館で開催した。存続が困難という判断に至った過程と、新たな交通体系の一つとして代替バスのルート案を提示。廃止・バス転換を巡って、住民の意見が分かれた。
同区間については、廃止・バス転換について2021年7月から本格的な議論が始まり、ことし1月28日に沿線4市町村(富良野市、南富良野町、占冠村、新得町)の首長らが集まった会議で、JR北海道が存続のため自治体に求める費用が巨額で負担できないとし、バス転換の協議を進めることを確認。4市町村がそれぞれ住民説明会を開くことを決めた。
22日の説明会には、地域住民ら約30人が参加。市からは北猛俊市長や石井隆副市長、関沢博行企画振興課長らが出席し、JR北海道から萩原国彦取締役、道から早川由世公共交通支援担当課長が参加した。まず、関沢課長が検討過程を説明した。
沿線4市町村では存続に向け、①生活利用②観光活用の可能性③災害時の代替ルート④費用負担―の4点を検討。生活利用は減少傾向にあり、観光もバスやレンタカーの使用が中心で需要を見いだせず、石勝線災害時のJR貨物の代替ルートとしての存続も、トラックなど別の代替案があることから難しさが浮き彫りになった。
JRが存続のために求める年間10億9000万円を負担することは「厳しい財政状況の中で困難」と判断した。
廃止する場合の新たな交通手段は、ふらのバス西達布線など既存バス路線の活用も視野に検討。今後バス事業者と協議する代替バスのルート案として4市町村は、①国道38号を通りJR富良野駅―新得駅間を結ぶルート②金山・下金山を経由してJR富良野駅―トマム駅間を結ぶルート―という2路線を提示した。
質疑応答では、住民から「存続に向け国への要望を継続すべき」「バス転換は早急では」との意見が挙がった。
市側はこれまで国土交通相や国会議員への要望や要請を継続してきたことを説明。また「バス転換が決まった訳ではなく、あくまで廃止に備え、公共交通機関を守るための協議」と理解を求めた。
一方で、住民から「東山地区にはもともと鉄道が通っていないため、バス転換により学生の通学手段確保も含め地域にとって利益があるのでは」などの意見もあった。
北市長は最後に「今後の協議で、いずれにしろ住民にとって利便性がある交通体系にしなければならない」と強調した。
市はこれから、24、25、29日と3回にわたって各地域で説明会を開催する。