22年地価上昇率、ほとんどの地点3%増

大通地区では相次いで再開発計画が浮上し、
コロナ禍前の市況に戻りつつある
札幌市中央区大通エリアで再開発計画の動きが活発化している。大通西4丁目街区で道銀ビルディングと西側に隣接する新大通ビルディングの一体開発が決まり、24日にも再開発準備組合が発足。事業化に向けた協議が本格化する。1月に閉館した商業ビル「4丁目プラザ」は、新ビル建設に向けて月内から解体に着手した。大通エリアの動きを追い風にコロナ禍で下火となっていたビルや土地の売買が出始め、事業者はホテルやオフィス投資への準備を進めている。
大通西4丁目街区は、札幌駅前通と大通の四隅に面する大規模ビルとして最後の再開発事業。平和不動産や同社子会社の平和不動産プロパティマネジメント、東京証券会館、札幌市、北洋銀行の計5者が地権者だ。北洋銀は新大通ビルを平和不動産と共同保有していて、札幌市は街区内に敷地240m²を持つ。
両ビルを所有する平和不動産は当初、道銀ビルのみを開発対象としていたが、北海道新幹線札幌開業に合わせた駅前の大規模開発に呼応して「大通地区はまだまだ発展する余地がある」とし、一体開発に乗り出すことを決めた。
24日の設立総会で地権者5者がメンバーとなる見込み。ただ、新大通ビルの一部を所有する北洋銀は「(持ち分を)活用するか、売却するかは決まっていない」と、再開発事業に参画するか不透明な状況だ。
再開発は平和不動産の2020―23年度中期経営計画に盛り込まれていて、オフィスやホテル、商業など複数の案から新施設を検討する。同者の担当者は「札幌駅前で進む再開発より前に竣工できれば」と意欲を見せる。
札幌市は一帯での容積率の最高限度を1200%まで引き上げる地区計画を決定。老朽ビルの建て替えを後押しすることが期待されている。
4プラ(南1条西4丁目)もこの対象区域に入る。鹿島で解体を進め、23年以降の新ビル建設が待たれる。不動産関係者によると、地権者の読売新聞東京本社のほか、鹿島を中心にプランを固めている動きがあるという。
隣接するピヴォ(南2条西4丁目)も再開発に向けた準備が進んでいて、物販やオフィス、ホテルなどが入居する複合ビルの計画が挙がっている。事業者であるダイビルの担当者は「地区計画で具体的な街の方向性が見えた。最短で26年の竣工を見据え、プロジェクトを進めたい」と意気込む。
大通エリアで相次いで浮上する再開発計画は、コロナ禍で停滞気味だったホテル開発や不動産売買の刺激になっている。
最近では、サムティが岡本ビル(大通西5丁目)やパラカパーキング101ビル(南3条西5丁目)を立て続けに取得。今後、ホテルやオフィスへの建て替えを検討する。このほか、道外の大手デベロッパーが、コロナにより事業を断念したホテル用地を取得するケースも出てきた。
大通エリアの勢いは、22日発表の公示地価(1月1日時点)からも読み取れる。21年に大通は1%未満の上昇幅にとどまっていた地点が多かったが、22年はほとんどの地点で3%以上になった。札幌駅前の再開発に続き大通エリアでコロナ禍前の市況に戻りつつある。