プロ野球のペナントレースがきょう25日、開幕する。北海道日本ハムファイターズは来春、札幌ドームから近郊の北広島市で建設中の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」に拠点を移す。一帯は野球観戦以外にも宿泊や飲食、暮らしと多分野が融合する一大拠点に生まれ変わる。全国、全道が新たなまちづくりとして注目するが、交通アクセスの課題があるのも事実。移動手段の充実や周知徹底が求められる。
新球場は12月に完成し、2023年3月に開業する。収容人数は約3万5000人。開放感ある造りで、バックネット裏の最前列はバッターボックスとの距離が投手よりも近い15m。迫力ある試合が間近で見られる。ホテルや温泉、サウナからの観戦と野球との親しみ方が変わる工夫が豊富だ。
一帯は北海道ボールパークFビレッジ(BP)として、分譲マンションや農業学習施設、認定こども園などが並ぶ。多種多様な施設がそろうことで、野球の試合がない日でも楽しめ、多世代が集う空間となるだろう。
BPは、まちづくりにも影響を与えている。北広島市は転入が転出を上回り、新型コロナウイルス感染症の拡大で暗い世相の中、明るい話題として存在する。このほど発表された公示地価の上昇変動率は、北広島市が商業地の全国1位となり、住宅地も全国1位に入っている。全国的に注目を浴びている証拠だ。
ただ、交通アクセスに目を向けると、開業には間に合うものの、BP周辺道路の4車線化や新設される道道は工事中。国道とつながるアクセス道路は27年度の完成予定で、市が請願するJR新駅は早期の完成を目指し詳細を検討している。しばらくはJR北広島駅の混雑や付近を走る道路の渋滞は避けられない。
これらを解消するため、ファイターズスポーツ&エンターテイメントや北広島市は既に検討を開始している。北広島市近隣では、JR新札幌駅からBPまでシャトルバスを運行する計画がある。アクセス方法を増やすことは経路分散、移動のストレス軽減になる。早期の情報発信で移動手段に合った分かりやすい説明を期待する。
BPが目指すスローガンの「PLAY HUMAN」と、取材で耳にする「世界がまだ見ぬBP」というフレーズ。どちらも、ここから北海道の活力が生まれることを予感させる。一人でも多く、ここでしか体験できない時間を過ごせるよう、関係者のもてなしに期待したい。(建設・行政部 瀬端のぞみ)