コロナウイルス感染拡大第6波のピークは過ぎましたが、減少の足取りは遅く、市中感染により多くの感染者が報告されています。これに対抗するためには、マスク、手洗い、換気などの感染対策を継続する必要がありますが、それと同時に、ワクチン接種を進めることが重要です。
現在、大半の人は2回接種を済ませていると思いますが、2回目の接種後6カ月以上経過した人は、効力が下がると考えられ、3回目の追加接種(ブースター接種)が必要です。そこで、3回目の接種が進められていますが、まだたくさんの人が接種を受けていない状況です。
接種が進まないのは、2つの理由が考えられます。まず、はじめに厚生労働省が2回目の接種終了から8カ月後に3回目を行う予定で準備をしたため、第6波の出現に間に合わなかったことです。それによって、感染拡大の最中にワクチン接種を進めることになり、自治体の負担は極限となりました。
一方、個別接種、集団接種、職域接種の会場は遅ればせながら設置されましたが、予約に空きが目立つ状況になっています。1、2回目の接種のころに比べて、積極的に受けようと考えている人の数が減っているようなのです。
3回目の接種をためらう人の多くは、副反応を理由にあげます。副反応はワクチン接種に関連して現れる一連の症状のことです。接種部位の痛みは大半の人に起こりますし、3割ぐらいの人には発熱が起こります。他に、頭痛、倦怠感、接種部位の腫れなどが報告されていて、その数は、決して少ないものではありませんでした。
もちろん、副反応は接種後2日程度で確実に収まります。しかし、発熱や倦怠感により1、2日にせよ仕事を休まざるを得なくなる人も多かったのです。そうした経験がある人が3回目を躊躇(ちゅうちょ)しているわけです。
実際、3回目の接種で副反応は起こるのかというと、残念ながら1、2回目と同じ程度の報告があります。3回目で副反応が多くなるということはないのですが、やはり副反応は、健康な人にとってはつらいものでしょう。
しかし、新型コロナ感染症にかかった場合の症状は、その比ではないほど強いもので、特にオミクロン株は発熱と咳(せき)、のどの痛みが非常に強いと報告されています。もちろん重症化の危険性もあるわけで、やはり副反応は我慢してもらって、3回目接種をした方が良いと思います。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)