深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 札幌開発 忠沢一弘社長

2022年03月31日 18時00分

忠沢一弘社長

飲食各社 協奏から協業へ

 居酒屋「串鳥」を展開する札幌開発(本社・札幌)は、焼き鳥の持ち帰りを強化する方針だ。持ち帰り専門店の開設に続き、4月にはキッチンカーでの出店も予定する。コロナ禍で減収の歯止めがかからない状況が続く飲食業界で、どう現状を打開するのか忠沢一弘社長(60)に展望を聞いた。

 -コロナ禍による団体利用の減少などで大型飲食店の運営は厳しいが。

 飲食業界の環境変化に対する当社としての回答が「持ち帰りの強化」だ。

 座席数の多い大型店はテナント料や人件費など維持コストも大きく、当社も札幌市内中心部の店舗の閉店・集約を進めた。ただ、串鳥はもともと持ち帰り需要が高く、持ち帰りによる売り上げが2割を占める店舗もある。2月15日に開いた持ち帰り専門店は午前11時からオープンしているため、夕方からオープンする店舗では拾いきれなかった昼間の需要にも応えられる。4月からは市内の商業施設などにキッチンカーを出動させるほか、今後、持ち帰り専門店のさらなる店舗展開も進める。

 -持ち帰り以外の店舗についてはどのような運営を。

 コロナ禍以前に、人口減少により胃袋の数が減っている。これまでの事業をそのまま続けていても衰退するだけだ。持ち帰り強化のほか、接待などにも活用できる高級路線の新しい焼き鳥専門店ブランドの立ち上げを検討している。

 既存店舗もてこ入れする。多くの店舗は外から焼き場が見えるレイアウトになっているが、客席まで遠く、提供まで少し時間がかかる。焼き鳥は焼きたてが一番おいしい。今後は1秒でも早く食べてもらえるよう、店内中心部に焼き場を移動する改修も考えている。

 串鳥は家族連れもメインターゲット。基本的に飲み放題がメニューに無いのも、家族で来てゆっくり食事やお酒を楽しめるような店舗にしたいからだ。新規出店については、道内地方都市など郊外でも検討する。住宅街に近い郊外に店舗を構えれば、家族での来店やテークアウト客も呼び込みやすい。

 -飲食業界はコロナ禍を経てどのような変化を遂げるべきか。

 外食は日常的な活動だったが、コロナ禍によって特別なものになってしまった。「たまの外食」に選ばれるような店舗をつくり上げる必要がある。

 このためには顧客満足度を高めることが重要で、飲食各社は競争から協業にシフトしなければならない。当社は串に「刺す」「巻く」という手間のかかる技術を持っている。これを同業他社に製品などとして提供し、代わりに他社の商品や技術などを導入させてもらう。現在は有名スープカレー店と協力している。

 飲食以外にも専門性を持ち合わせている事業者同士力を合わせたい。近年のキャンプブームに合わせ、アウトドア用品メーカーと共同でキャンプなどに使える焼き鳥の焼き台開発にも着手している。

 -会社にとって挑戦とは。

 新たな取り組みへの挑戦は社員のモチベーション向上にもつながる。事業の芯は変えずに積極的に取り組みたい。飲食業界はトップダウンの会社が多いが、当社は人事などさまざまなプランニングを社員に一任し、自分たちで判断してもらうことに重きを置いている。持ち帰り専門店の運営方法も同様だ。

 串鳥は地域に寄り添ってきた居酒屋。親子3代で利用してくれているお客さまも多いだろう。その気持ちをつなぐためにも新たなチャレンジで持続的な経営を目指す。

(聞き手・宮崎嵩大)

 忠沢一弘(ちゅうざわ・かずひろ)1961年4月生まれ、大阪府出身。甲南大経済学部を85年3月に卒業後、サッポロビールに入社。大阪支社長や中四国本部長を歴任した後、2021年4月から現職。

深掘り 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

  • web企画
  • 古垣建設
  • 東宏

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (6,301)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,581)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,537)
おとなの養生訓 第126回「なぜ吐くのか」 空腹時...
2017年12月22日 (1,422)
おとなの養生訓 第203回「おかゆ」 消化時間、白...
2021年03月15日 (1,067)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。