津波で陸の孤島化危惧

海沿いに面し、災害時に寸断の危険性がある国道336号
えりも町と様似町は2022年度、町の内陸側を通る避難道新設を求める期成会発足を目指す。えりも町内では、日本海溝・千島海溝に由来する巨大地震で最大26mの津波が想定されている。唯一町外への避難道となっている国道336号も大型津波の浸水想定範囲に含まれる。海から離れた避難道の実現に向け、国や道に働きかける。
避難道の整備は、鳴海修司新冠町長が会長を務める日高総合開発期成会でも22年度要望に盛り込む見通し。背景にはえりも町がたびたび陸の孤島になった経験がある。
えりも、様似、広尾の3町を結ぶ国道336号は雨や雪による通行止めが度々起こる。年に1、2回は様似、広尾両方面に通り抜けられなくなる。
大西正紀えりも町長は「津波が来れば、国道はまず被害を受ける。町内だけではけが人や透析患者などに対応できず、物資の支援なども遅れる」と危惧。自治会や業界団体などから構成員を募り、22年度に期成会を発足させたい考えだ。
さらに「避難訓練などはできるが、道路整備は町単独ではどうにもできない。国による調査設計や、津波で道路がどれだけ被害を受けるのかを示してくれるだけでも取れる備えが変わる」と対応を求める。
日高管内では、苫小牧市と浦河町を結ぶ計画延長約120kmの日高自動車道の建設が進む。中間地点の日高厚賀ICまでが開通済み。人・物流の効率化が見込めるほか、並行する国道235号と合わせて交通の冗長性(リダンダンシー)を高める。
3月16日に福島県などで最大震度6強を観測した地震は、東日本大震災の余震とも言われ、今後も同程度の地震が発生する懸念がある。常に津波と隣り合わせの浦河町以東の様似、えりも両町から、災害時に一刻も早く安全に日高自動車道へアクセスするためにも内陸を通る避難道の新設が求められる。