道の公共建築木造率が16%に下降 林野庁が試算

2022年04月05日 08時00分

道産材普及へ後押しを

道産木材の堅牢さや柔らかさが印象的な道議会議事堂

 林野庁は2020年度の公共建築物の木造率に関する試算結果を公表した。20年度着工の全国公共建築物木造率は、前年度より0.1ポイント上昇し13.9%となった。一方、北海道は16%と平均を上回ったものの、前年度より2.2ポイント下降。うち3階以下の低層公共建築物では30.7%となり、こちらも前年度を3.4%下回る結果となっている。広大な森林資源を生かし、道産材が広く出回る仕組みづくりが普及の後押しとなりそうだ。(建設・行政部 三浦由佳理記者)

 「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行を機に10年度から毎年度、木造化の進捗を国土交通省の建築着工統計調査を用いて試算している。

 全国の公共建築物全体の木造率を建築主別に見ると、都道府県4.3%(前年度より0.8%増)、市町村8.7%(0.7%増)、民間と個人20.6%(0.3%増)で上昇しているものの、国が1.3%と前年度から1.1ポイント減少する結果となった。

 北海道の木造率は試算が始まった10年度には12.3%で、17年度には19%を記録したが、20年度は16%と低下している。このうち、木造を導入しやすい3階建て以下の低層公共建築物に限って見ると、北海道は30.7%で、このうち建築主別では、国が14.3%、道が59.4%、市町村が25.5%、民間・個人が36.2%となった。

 数字上では伸び悩みがあるものの、近年の道内での公共建築物の木造化・木質化の動きを見ると、設計を担当した日本設計がウッドデザイン賞2021を受賞した北海道議会議事堂、21年度木材利用優良施設表彰で優秀賞となった津別町役場庁舎、HOKKAIDO WOOD BUILDINGに登録された美深町立仁宇布小中学校や新十津川町役場庁舎など、徐々に導入が進みつつある様子がうかがえる。札幌市では、23年10月に着工予定の仮称・定山渓地区義務教育学校を近年では実績のなかったW造主体で進めるなど注目されている。

 さらに、道産材を活用する動きも広がっている。

 林産試験場の石川佳生研究主幹は「ウッドショックの影響などもあり、道産材に注目が集まってきた。道産材の自給率向上には、建築材用設備の整備や人手不足の解決など供給体制が追いつけるかという課題もある。一方、ニッショウ(赤平)のようにプレカット工場が乾燥設備を整備するなどの動きも出てきており、道産材活用増は期待できる」と話す。

 さらに、北海道木材産業協同組合連合会(道木連)の内田敏博副会長は「ゼロカーボンやSDGsの観点からも道産材の活用は意義がある。今後の道産材需要の見通しなどの不安もあり製材業者の設備投資などは厳しい経営判断に迫られるが、木造化・道産材利用の機運が高まっているのは確か」と分析する。

 21年10月に施行された木材利用促進法の改正も後押しに、一層木造化の動きも大きくなっている。

 全国で公共建築物の木造化率が特に高い岩手、岐阜、長野の3県は、森林面積が全国でトップ5に入る。植生による木の種類の違いなどはあるものの、全国トップの森林面積を誇る北海道で地元材活用をさらに加速させ、併せて木造化率の上昇につなげていくことに期待が寄せられる。


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