関係性や自分の知識深化
行政書士の主な業務は許認可の取得です。お客さまは、何らかの許可を取得したい場合に行政書士に依頼します。
依頼を受ける行政書士により、申請までのスピードが異なっていたり、控え書類がきれいだったり、丁寧にファイリングされていたりという違いはありますが、成果は誰に依頼しても変わらない「許可の取得」です。
その時に、お客さまはどういう視点で依頼する相手を選んでいるのかは、私たちには分かりません。皆さまは、同じ資格を有している人が複数いて、誰に頼んでも成果がさほど変わらない場合に、どのような基準で依頼する相手を選んでますか。
いろいろな基準があるでしょう。信頼する人から紹介を受けた人だから、有名人だから、価格が手ごろだから、依頼するとすぐに対応してくれるから、何となくいつも頼んでいるから。依頼する時に重視する基準は、依頼する側の仕事に対する理念とも通じるものだと感じます。
一方で、依頼を受ける行政書士としては、誰に頼んでも成果がさほど変わらない場合でも選んでいただける立場になるためには努力をするしかありません。日々研さんを積み重ね、法改正に対応した知識を身に付け、丁寧にご対応し、スムーズなご連絡と手続きを行う。心掛けてはいるものの、難しいことばかりです。
その中で私が特に大切にしていることは、直接お会いすることです。しかもできるだけ相手の場所にお伺いするようにしています。お客さまには、お忙しい時間を割いていただくことになりますが、あまり断られることはありません。
お会いしてお話しをすると、電話やメールとは違った関係性が出来上がることを感じます。お時間を頂戴してお話しができる分、ゆっくりと用件以外についてもお話しでき、深いコミュニケーションを築くことができます。お伺いしてお相手の方の場所でお話しすることで、相手の方もくつろいだ雰囲気となり、お話しも弾むことが多いです。
お会いすることを続けることで、関係性の深化のほかにもメリットを感じました。それは、会話の中で、会社の信念や担当者のお考えに限らず、業界動向、世の中の流れを把握することができることです。そして、その情報をうまく理解することで、自分の考えや知識を深めることができることでした。
外部の専門家は、幅広い業種の経営者とお会いできることが多いです。お話しを通じて、それぞれの業界が有する独自性に加え、経営というものの普遍性を感じます。私は、その中で頂いた知識はできるだけお客さまに還元しようと心掛けています。
いつも用件しか話さないご担当者と会話を楽しんでみると、人柄や知識も選択の基準に上がることでしょう。