木質系資材高騰に苦慮 道型枠工事業協組沢田理事長に聞く

2022年04月12日 09時00分

沢田信彦理事長

コスト転嫁と労務費改善の板挟み

 コンパネを中心とした空前の材料費高騰で、型枠工事業が厳しい状況にある。北海道型枠工事業協同組合の沢田信彦理事長に業界の現状と今後を聞いた。(経済産業部・佐藤匡聡記者)

 ―材料費の高騰について。

 合板や桟木など木質系資材の価格が高止まりし、大変苦労している。合板の仕入れ価格は昨年春に比べ4、5割上がった。以前なら春先に大量調達したが、今は先々の値動きが見通せず、必要な分を必要な時に調達するように変えている。ウッドショック時のような品不足は解消され、メーカーからの出荷制限は無い。

 一般的なマンション建設の場合、木質系資材は請負単価の12%ほど。それが1.5倍上がっているので、1m²当たりの単価に直すと200―300円は上がっている計算だ。合板の転用率が悪い工事内容だと、さらに資材単価の比率が高くなってしまう。多くの型枠工事会社が自社で吸収しきれないレベルにある。

 一方で、材料費の高騰で利益が圧迫され、補填として労務単価が下がってしまう事態だけは避けたい。週休2日制の対応には労務費を上げなければならず、コスト転嫁と労務費改善の板挟みにある。

 ―週休2日制の対応は。

 建設業全体に言えるが、ネックは日給月給だ。月給制にするのが一番良いだろうが、働ける日数が減ると賃金が減る人も出てくる。請負単価の見直しを求めねばならず、加えて建設キャリアアップシステムのレベル別賃金や生産性向上への対応など複雑な要素が絡む。

 ―型枠工事業の課題を。

 やはり高齢化だ。若い人が入ってこないため技術や技能の伝承が課題とある。若者へのアピールが大切と考え、弊社ではSNSによる情報発信に前向きで、近ごろはバスケットボールチームのレバンガ北海道とオフィシャルパートナー契約を結んだ。

 最近はS造の建物が多く、型枠の仕事を最初から最後まで経験できる機会が少なくなった。木造の中高層が建つようになったのも大きい。S造でも木造でもコンクリート基礎は無くならないだろうが、基礎だけでは本当の技術や技能は生かしきれない。

 いかに生産性を上げるかも課題だ。型枠工事会社は現場仕事のほかに、設計の図面から加工図を作る〝拾い出し〟の能力が求められる。2次元の図面から3次元の加工図を起こす仕事。将来的にはBIMとの連動も考えられ、頭の中に3次元イメージを描ける型枠大工の見せ場だと思っている。

 ―2022年度の業況感は。

 各ゼネコンとも秋口までは物件を確保し、忙しくなるとみている。これから始まる札幌市内の再開発案件は時期が重なりそうなため、労務の逼迫(ひっぱく)を懸念している。別の視点から見ると、札幌に仕事が集中していることから、地方の型枠工事会社は大変だと認識している。

 ―今後の抱負を。

 初めて理事長になった頃はリーマンショック後で、業界として最悪の時期だった。今は再開発案件を抱えるため4、5年は大丈夫だろうとみている。しかし、その先を考えたとき今のままの業界で良いのかと感じている。

 将来に向け、北海道版の請負標準単価を設定したい。日本型枠工事業協会の東京支部の動きに追随する形だが、半年しか稼げない北海道の特殊性を反映し、独自の請負単価の目安を決められればと思う。材料費や労務費など実勢に合わせられ、組合員が元請けと交渉する際のツールになればと考える。


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