本間純子 いつもの暮らし便

 アリエルプラン・インテリア設計室の本間純子代表によるコラム。

 本間さんは札幌を拠点に活動するインテリアコーディネーターで、カラーユニバーサルデザインに造詣の深い人物。インテリアの域にとどまらず、建物の外装や街並みなど幅広く取り上げます。(北海道建設新聞本紙3面で、毎月第2木曜日に掲載しています)

本間純子 いつもの暮らし便(19)高低差の魅力

2022年04月14日 09時00分

 小さな若草色の発見がうれしい一方で、つい先日まで大雪で苦戦したはずなのに、日々小さくなっていく路肩の雪が名残惜しい。この矛盾、なんとしましょう。

 わが家はいわゆる基礎高の家なので、これまで雪で窓が覆われることはなかったのですが、この冬初めてリビングの窓が30cmほど雪に埋まりました。採光に問題はないのですが、何ともうっとうしく、ガラスが割れてはと思い、届く範囲を除雪しました。たかが30cmですが、とてもとてもスッキリ!。窓が大きくなったように感じられ、30cmの雪のボリュームをあらためて認識することになりました。

 一般的に、リビングは1階に配置されることが多いのですが、中2階もしくは2階も少なくありません。採光が得やすく、眺望も良く、今年のような大雪で窓がふさがってしまう心配もありません。近くに庭木があれば芽吹き、開花、紅葉の変化や小鳥たちの来訪もアイレベルで楽しめます。基本的に外から見られることがないので、安心感もあります。

 でも、上階のリビングは良いことばかりではありません。高齢になって膝や股関節が不調になると、階段の上り下りがつらくなります。手すりがあっても安全とは言いきれません。階段のリフォームは大掛かりな工事になるので、設計当初から階段の幅や傾斜、踊り場は無理がないように、よく検討しておきたいところです。

 また、リビングと同じフロアにキッチンやダイニングをレイアウトするのが一般的なので、食品や日用品を2階まで運び保管する必要があります。お米の袋やペットボトルの箱を運ぶのはなかなか大変です。「小分けにする」「サポートしてくれる人の手を借りる」など、備えと覚悟を頭の片隅にメモしておきましょう。

 さらに、歩行がしにくくなると、日に何度も上り下りする階段は結構なストレスになります。来客時にインターホンで応対しても階段を降りていかなければならず、「緊張する」「急げない」「待たせている」「焦る」など、畳み掛けてくるストレスにはつらいものがあります。

 1990年代にバリアフリーの考えが広まったころ、「スロープ」「手すり」「凹凸のない床」が推奨され、スキップフロアの新築住宅は激減しました。中2階、中3階が特徴で、部屋の移動の度に階段を上り下りするのは少々体力が必要ですが、縦方向に視界が開け、空間が広がっていく感覚や上階から先への期待感はスキップフロアの魅力です。

 最近は階段の踊り場を広めに確保し、ワークスペースにするケースがあります。階段がON―OFFの切り替え空間として良い仕事をしています。また、小屋裏を利用したロフトの打ち合わせの時は、「秘密基地が好きな子どものために」と言うお父さんが一番楽しそうです。転ばぬ先の杖も大事ですが、今を快適に過ごす空間の使い方も大事です。壁で区切るだけでなく、床の高さで空間を分ける「高低差を生かした家づくり」は一考の価値がありそうです。


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