ボールなどが地面に落ちて跳ね返ることをリバウンドといいます。ボールをより強く地面にたたきつけると、より強く高くボールはリバウンドします。そのことを意識して、ある数値が急激に減少した後、一転して急激に増加し、減少前の値を超えることすらあるような状態をリバウンドと言い表すようになりました。というわけで、ダイエットによる体重減少の後に起こる急激な体重増加を指してリバウンドと言い表します。
体型を維持するため、あるいは生活習慣病の予防のため、体重減少、いわゆるダイエットに取り組む人はたくさんいます。一般的な方法は、食事の量を減らす、あるいは、継続的な運動を行う、さらにその両方を並行して行うというものです。
体重減少の効果は、意外と早く表れます。1、2㌔の減少はすぐです。しかし、そこからしばらくは、努力を続けても、減少の速度は鈍くなります。そして苦難を乗り越えて、目標の体重まで減らすことに成功します。その達成感は、何にも代え難いものです。
その喜びの中で、食事を元に戻したり、運動をお休みしたりすると、再び体重は増加し始めます。この体重増加は、時に急速に起こり、ダイエットに取り掛かる前の体重を超えてしまうこともしばしばあります。これがリバウンドです。
そもそも体重は、食事で摂取したエネルギー量と運動などで消費したエネルギー量が一致した場合に、一定に保たれるものです。到達した目標体重は、減らした食事量と継続する運動量のバランスによって保たれているのですから、食事量を元に戻せば、増加に転じる道理です。
また、食事量を減らしていると、体は一種の飢餓状態となり、元に戻した食事量では、よりエネルギーをため込もうと反応するので、ダイエット前より体重が増えてしまうことが往々にして起こるのです。もし、極端な減食を行って体重を減らした場合、体の飢餓状態は極端に高まるので、食事を元に戻すと、急激なリバウンドが起こることになるのです。
肥満対策には体重減少を数カ月かけて徐々に行い、目標体重になったら、リバウンドしないように、ある程度の制限は継続するようにしなければなりません。急がば回れは、ダイエットでも通じる考え方です。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)