おとなの養生訓

おとなの養生訓 第229回「リバウンド」 数カ月かけ徐々に減量

2022年04月18日 09時00分

 ボールなどが地面に落ちて跳ね返ることをリバウンドといいます。ボールをより強く地面にたたきつけると、より強く高くボールはリバウンドします。そのことを意識して、ある数値が急激に減少した後、一転して急激に増加し、減少前の値を超えることすらあるような状態をリバウンドと言い表すようになりました。というわけで、ダイエットによる体重減少の後に起こる急激な体重増加を指してリバウンドと言い表します。

 体型を維持するため、あるいは生活習慣病の予防のため、体重減少、いわゆるダイエットに取り組む人はたくさんいます。一般的な方法は、食事の量を減らす、あるいは、継続的な運動を行う、さらにその両方を並行して行うというものです。

 体重減少の効果は、意外と早く表れます。1、2㌔の減少はすぐです。しかし、そこからしばらくは、努力を続けても、減少の速度は鈍くなります。そして苦難を乗り越えて、目標の体重まで減らすことに成功します。その達成感は、何にも代え難いものです。

 その喜びの中で、食事を元に戻したり、運動をお休みしたりすると、再び体重は増加し始めます。この体重増加は、時に急速に起こり、ダイエットに取り掛かる前の体重を超えてしまうこともしばしばあります。これがリバウンドです。

 そもそも体重は、食事で摂取したエネルギー量と運動などで消費したエネルギー量が一致した場合に、一定に保たれるものです。到達した目標体重は、減らした食事量と継続する運動量のバランスによって保たれているのですから、食事量を元に戻せば、増加に転じる道理です。

 また、食事量を減らしていると、体は一種の飢餓状態となり、元に戻した食事量では、よりエネルギーをため込もうと反応するので、ダイエット前より体重が増えてしまうことが往々にして起こるのです。もし、極端な減食を行って体重を減らした場合、体の飢餓状態は極端に高まるので、食事を元に戻すと、急激なリバウンドが起こることになるのです。

 肥満対策には体重減少を数カ月かけて徐々に行い、目標体重になったら、リバウンドしないように、ある程度の制限は継続するようにしなければなりません。急がば回れは、ダイエットでも通じる考え方です。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • web企画
  • 古垣建設
  • 東宏

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,407)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (1,348)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,328)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,319)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,039)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。