
関崇博社長
リースに支障 油断できず
創業50周年を迎えた総合リース道内大手、中道リースの新社長に関寛現会長(75)の長男、関崇博氏(46)が就任した。同社は2021年12月期の当期純利益が増益となり、コロナ禍の影響で減益だった前々期からの復調を示したところ。だが最近は世界的な物価上昇、ウクライナ危機の影響など経済の不透明感は増すばかりだ。どんな経営を目指すのか、新社長に聞いた。
―長引くコロナ禍の影響はどうか。
リースは金融業のため直接というより、取引先の業況を通して間接的な影響を受ける。取引先の中でも濃淡があり、当社で取り扱いの多い輸送機械分野だと観光バスなどは依然厳しい。一方で巣ごもり傾向から宅配が盛んになり、トラックをはじめとする物流関係は伸びている。加えて建設機械も動きがいい。
―厳しい環境下での社長交代だが、先代からはいつ告げられたのか。
昨年の11月ごろ、日常会話の延長のような雰囲気で話があった。本社オフィスの改装などいろいろな取り組みを進めている途中だったため、交代はもう少し先かと思っていたが、09年に入社した時点でいずれ後を継ぐ覚悟だったので驚きはない。
専務から3月に社長になって感じるのは、どの部門の話にも今まで以上に向き合い、自ら判断しなければいけないということだ。最終的に現会長が判断していたこれまでとは大きく違う。
―今期は減益見通しだが。
以前から当社は業績を硬めに見通し、貸倒損失の増加に備えて引当金を厚くしている。このため予想段階では減益でも、実際はそこまで悪くならず、ふたを開けてみれば増益というケースが多々ある。
今期もそうあってほしいところだが、今はどの取引先でも原価が高騰している。コロナ緊急融資の返済が始まった企業も増え、破たん懸念は以前より強い。さらに言えば半導体不足などから乗り物が供給不足で、新車のトラックだと納車まで1年以上かかり、リースにも支障が出る。まったく油断できない状況だ。
―リース以外に不動産賃貸、保険、エネルギーなど広く手掛ける。多角化にも積極的なようだ。
いろいろな事業があるが売り上げの9割はリース業が占める。ほかの部門も「リースの顧客に対してこんなサービスも提供できるのでは」という形で派生したものばかりだ。数が多い背景には社員の自主性を大事にする企業文化があって、いい事業提案をした社員には自ら担当になって挑戦してもらっている。
―昨年は秋田に支店を設けた。営業エリアの拡大は。
道外では今、東北と関東全都県に拠点がある。同業の大手を見ると、例えば北日本の拠点は札幌と仙台のみ、といった体制の社もある。コロナ禍では、地域によっては感染への恐れで、県外からの出張者が歓迎されないムードがあるのも現実。その点、当社は各地に拠点を持つのが結果的に強みになっている。今後もニーズに応じて少しずつ広げたい。
―働き方はどうか。リモートワークで社内に変化が起きているか。
当社でもウェブ会議を導入しているが、実際に会って話す文化が根付いていて、気付くといつも通り集まって会議をしている。社員数は役員、アルバイトを入れてちょうど200人に達したところ。この規模だと名前と顔が一致し、性格も分かる。用があれば一般社員でも社長と直接議論するような風通しのいい社風は今後も変わらない。社長が代わって会社が駄目になったといわれないよう、精進するつもりだ。
(聞き手・吉村 慎司)