23年4月供給目指す
日本ガイシ(本社・名古屋)と網走市は27日、太陽光発電で公共施設などに電力供給する地域新電力会社「あばしり電力」を設立する。2023年4月の供給開始を目指す。市有地4カ所に発電パネルを新設し、うち1カ所には大容量蓄電設備と自営線を設けて停電時に対応。設備投資額は約4億円となる。
光量に左右される太陽光発電に、大容量の蓄電と長時間の出力が可能なナトリウム硫黄電池(NAS電池)を組み合わせ、安定した再生可能エネルギーの地産地消を図る。北海道電力が供給を担って電力販売を取り次ぐ。当面の供給先は市の施設47カ所と日本ガイシの関連会社1カ所。
日本ガイシはNAS電池を製造していて、市内にグループ会社のNGKオホーツクを置くことから、21年に市へ事業提案。流氷減少などの地球温暖化対策や防災力を強化したい市側と考えが合致した。日本ガイシが基礎自治体と電力会社を設立するのは、岐阜県恵那市に次いで2例目。
発電設備4カ所の発電能力は1500kWで年間発電量は180万kW時、蓄電設備1カ所の容量は1200kW時。各設備は自社で設置・保有して、固定価格買取制度(FIT)は活用しない。
初弾として、発電パネルとコンテナ形の電池ユニット1基を潮見団地(潮見4丁目)の解体予定地と遊休地に設置し、自営線を指定緊急避難場所の潮見小と潮見コミュニティセンターまで通す。6月までに施工業者を決める意向で、電線整備の経験を持つ市内業者を中心に見積もり依頼する。
新会社の資本金は7000万円で、出資比率は日本ガイシが85.7%、網走市が14.3%。20日に網走セントラルホテルで開いた会見で、社長就任予定である日本ガイシの村本正義エナジーストレージ事業部管理部長は「(事業を)立ち上げた後、順次自前の電源を増やし、供給先を増やしたい」と展望を話した。