地元工高卒業者を継続的に採用 ベトナム人技術者の日本語検定や資格取得支援
花本建設(本社・旭川)は、若手と外国人社員の育成を強化している。人材育成の専門部署を設け、地元の工業系高校から継続的に採用するとともに、ベトナム人技術者を正社員に登用して日本語検定と土木施工管理技術検定の取得を支援。10―20年後の幹部候補を育て、長期的な事業継続を経営戦略の中核に据える。
「レベルの立て方はこれでいいですか」。東川町の同社営業所で測量の実習を受けるのは、4月に入社したばかりの森田唯斗さん(18)と高橋涼太さん(18)。森田さんは旭川実業高、高橋さんは旭川工高のバレー部出身だ。花本金行社長が旭川実業高女子バレー部のコーチを務めていたことが縁で入社した。
業務の傍ら2人に測量器具の使い方を教えるのはドー・タイン・ダットさん(37)だ。同社は、ベトナムから来日したダットさんとハー・クアン・バックさん(29)を2020年に技術職の正社員として採用。2級土木施工管理技士の取得と日本語検定合格に向けた支援をしている。
若手技術者の採用と育成を強化するため、20年4月に専門部署のHCM(ヒューマン・キャピタル・マネジメント)推進室を設置した。宮川淳室長は旭川工高の元教諭で、長年にわたり人材育成に携わってきた。「中堅世代のいない状態が20―30年続いている」と分析。「将来的には現場の所長、部長や課長を担ってもらわなければ」と、会社の中枢を担う人材育成の重要性を強調する。
新入社員の高橋さんは「インフラ整備を通して人が入ってくる街を造りたい」と意気込む。森田さんは「早く資格を取得して現場で活躍したい」と目標を見据える。
同社はさらなる人材の育成・獲得に向け、普通科高校のインターンシップや建協での新人研修に取り組む考えだ。花本社長は「地元の採用はもちろん、国籍を問わず優秀な人材を積極的に採用する。若手の育成は最低でも10年はかかる。その間に離職させない環境づくりが必要」と指摘。「近年の若い世代は素直で吸収力がある。そこを生かして成長してほしい」と期待を寄せている。(旭川)