石狩湾新港で製造装置などを手掛けるシンセメック(本社・石狩)が活発な設備投資を進めている。3月に1億円以上をかけて大型立旋盤を導入した。7月には約1億円を投資し、溶接が主体の第6工場を着工する予定だ。内製比率を上げて製造に関するコストやリードタイムを削減し、競争力強化を図っている。
3月から新たに導入したのはオークマ製の大型立旋盤だ。本体サイズは幅6m、奥行き7m、高さ5mで最大直径2mの工作物を加工できる。従来は手掛けられなかったサイズを扱えるため、新しい顧客からの受注が増えたという。
この旋盤では主に道内から注文を受け、製材機械の部品などを扱う。同社はこれまでにも大型5面加工機の導入といった需要の大型化に対応してきた。
7月には第6工場の着工も新たに予定している。S造、平屋、延べ約300m²の規模で、主に溶接作業で利用し、機械のフレーム部などを手掛ける。竣工は10月の予定。2年ぶりとなる工場新設だ。
溶接作業は元々外注していたが、製造コストやリードタイムの短縮を目的に内製化を決めた。新たに設置した溶接部門には2人の従業員が所属し、今後さらに増やす。同社は部品加工にとどまらず、設計や組み立て、制御などを内製化して自社での一貫生産体制を整えてきた。溶接の内製化もこの方針を踏まえた取り組みだ。
世界的な半導体不足を受け、電気設備資材は調達困難な状況にある。入荷は完全に止まっていて、メーカーからは大まかな納期回答すら得られないという。このため、仕掛かりのまま製造中断している製品が多くある状態だ。松本周平副社長は「電材不足は今年いっぱい続くのでは」とみている。
電材不足やコロナ禍など逆風の中でも同社は、道内建材メーカー向けに外壁材の製造装置を作ったほか、商社を介してニュージーランドの工場に「カボチャ乱切り装置」を納入するなど幅広く展開。一貫生産や大型加工という強みを訴求した営業を今後強化する考えだ。