建設業の仕事を表現 井上技研が工事看板にピクトグラム

2022年05月02日 09時00分

左官や溶接、大工など16種類 デザインは景観色彩研究室

井上技研が採用した建設ピクトグラム

 井上技研(本社・札幌)は、札幌市立幌東小リニューアル改修で建設ピクトグラムを使った工事看板を掲げている。通学する子どもたちに建設業について知ってもらおうという試みで、左官や溶接、大工など16種類の仕事を青色の図記号で表現。デザインは、北海道らしい街並みの色を調査・研究する景観色彩研究室が担った。建設業をシンプルに分かりやすく伝える表現方法として関心を集めそうだ。

 ピクトグラムは、シンプルな形状を使って情報や注意を視覚的に表す絵記号。日常生活では非常口のマークがよく知られ、お手洗いや切符売り場などJIS化された標準案内用図記号も125項目ある。最近は東京五輪の開会式で、スポーツピクトグラムをモチーフにした連続パフォーマンスが話題となった。

 幌東小で掲げる建設ピクトグラムは、佐藤デザイン室(本社・札幌)の佐藤裕子さんとアリエルプラン・インテリア設計室(同)の本間純子さんで構成する景観色彩研究室がデザインした。建設の仕事の代表例として現場監督や積算、建具工事など16項目を描いている。色は東京五輪・パラリンピックで採用したスポーツピクトグラムの青色を意識した。

 「一つに建物を作る上で、いろいろな仕事の人が関わっていることを表現したかった」と本間さん。佐藤さんは「単純に〝工事現場の人〟とまとめて見るのではなく、仕事によって服装や道具が違うなど、子どもたちが工事現場の物知りになってくれれば面白いと思った」と話す。

 井上技研と景観色彩研究室のコラボレーションは、さかのぼること2012年の円山動物園改修が始まり。開園しながらの工事だったため、来園者にワクワク感を持ちながら施設内を歩き回ってもらおうと、入り口近くにタイトル「てくてく歩こう動物園」の工事囲いを設けた。各動物舎までの距離を大人と子ども、フンボルトペンギンの歩数で表現した。

 地下鉄東豊線東区役所前駅の出入り口上屋の塗装工事では、タイトル「数字が伝える東区」の工事囲いを作った。バス停が多かったり丘珠空港を抱えるなど、東区の良さを数字と地図で表現。区内のバス停や高速道路出入り口を地図上にしるしたほか、邸宅跡地が残る大友亀太郎の開拓年などを紹介した。

地域の良さを「数字が伝える東区」の工事囲いで表現した

 井上技研の犬嶋ユカリ専務は「建設業は、建物や構造物の存在意義を伝えることも仕事だと思う。工事看板は危険を注意喚起するだけでなく、学びの機会としても活用できる。将来を作っていく子どもたちの役に立ちたい」と話している。


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