道産木材の需要拡大狙い

道産材で木質化した道庁ロビー。木材の魅力を発信する
道は、2022年度から道営住宅の将来的なCLT(直交集成板)化に向けて本格的な検証を進める。技術革新で中高層の木造建築が可能になったことから、道産木材の需要拡大と、ゼロカーボン社会の構築に貢献したい考えだ。併せて木造建築物を登録する道の制度「HOKKAIDO WOOD BUILDING」(HWB)を通じて民間木造建築をPRし、道産材の知名度向上を後押しする。
国内では、政府が目指すゼロカーボン社会の実現に向け、生育過程で二酸化炭素(CO)を吸収し、建築材として貯留できる木材に注目が集まっている。中でもCLTはコンクリートより軽く、工期も短く抑えられることから、住宅・非住宅の構造材として活用と研究が進む。
同部は年度内に木材、建設、金融、研究機関など各分野が参加する「木造建築の新技術に関する協議会」を開く。建築基準法では3階層を境に求められる耐火水準が厳しくなることや、資材費用や生活騒音などで課題も想定されることから、4階建ての道営住宅をモデルに机上でCLT化した場合の強度や耐火、遮音、耐震性などを検証する。
CLTを巡っては、同部が16年度に「道産CLT利用拡大に向けた推進方針」を策定。26年度までに年間CLT生産量5万m³の目標を打ち出した。
現時点の年間CLT生産量は約1300m³で、生産は協同組合オホーツクウッドピア(北見)のみ。水産林務部林業木材課の冨成努課長補佐は「国の設備投資支援制度の活用を促し、生産体制を整えたい」と話す。
近年道内では、三菱地所のザロイヤルパークキャンバス札幌大通公園や竹中工務店の自社FMセンターなど、木材を使った民間大型建築物が次々と誕生。いずれもHWBに登録している。
竹中工務店の西居昭彦北海道支店長は「木材は重要なキーワード。道産材を使用することで企業のブランディングが高まるのでは」と期待する。
道でも、道庁ロビーを道産材でリニューアルするなどPRに力を入れる。「今後の需要の高まりに応えられるよう、林道路網整備などを通じた供給体制確保が必要。伐採期を迎えた木も多く、伐採と植樹により山の若返りも図りたい」(冨成課長補佐)と展望している。