道内店舗初 立体の赤文字看板やセルフレジ導入
札幌市内で都市型小規模スーパーマーケット「まいばすけっと」を出店するイオン北海道(本社・札幌)は、新型コロナウイルスの影響を踏まえた店舗開発検証を経て、1年7カ月ぶりに新店舗をオープンさせた。外観は赤文字看板に変えて視認性を上げ、店内にはセルフレジを導入。同社は2025年度までに50店舗の新規開店を目指していて、今後出店する店舗も新形態に切り替える。

視認性を高めた新デザイン看板
同社は12年、まいばすけっとの出店を開始。人口の都心回帰などを狙い、ビルやマンションの居抜き物件を基本に店舗数を拡大してきた。しかし、昨今は新型コロナウイルス感染拡大の影響で消費動向が変化。立地によっては1回当たりの買い上げ点数が増えた店もあれば、大学周辺店舗は学生客が激減した。同社は21年度を店舗開発の検証年と位置付け、1年7カ月間まいばすけっとの新規出店を見送っていた。
検証後初出店となったのは、GS北18条ビル(札幌市北区北18条西4丁目1の12)1階に4月22日オープンした「北18条西4丁目店」。札幌市営地下鉄南北線北18条駅から徒歩1分という立地で、営業時間は標準的な午前7時―午後11時。道内42店舗目となる。
入り口を明るく見せることで来店を誘おうと、本州店舗で先行している立体の赤文字看板を道内初導入。緑が基調で白文字の従来看板より視認性が向上し、間口の幅にとらわれない柔軟な設計に対応する。居酒屋の居抜きだった新店舗は間口が狭く、標準的なまいばすけっと(約180―200m²)より小さい約165m²だったが、客から「見栄えが良く、入りやすくなった」との声が挙がっている。
また、会計待ちのストレス軽減や店員との非接触を実現するため、道内店舗初のセルフレジを2台導入。有人レジも1カ所設けた。営業本部まいばすけっと事業部の鵜飼宏美部長は「想定以上にセルフレジを使ってもらっている」と話す。今後出店する店舗も外観をメインに新形態へ切り替える方針だ。
北18条西4丁目店は北大に近く、単身者が多い商圏。冷凍食品に重点を置き、同様規模の店舗より多い冷凍陳列棚を設けた。鵜飼部長は「狭いスペースでも普段の買い物場所としていかに商品を充実させるか」と画策する。利用者からは「学生街でこういう店はありがたい」という声があり、開店を理由にビル上階の賃貸マンションを契約した北大生の保護者もいた。
GS北18条ビルを管理するフィールドアップホールディングス(本社・札幌)は「ビルやマンションの1階をまいばすけっとが牛耳ると、家賃収入が安定的になる」と指摘する。物件所有者の中には、まいばすけっとという店舗形態の入居を歓迎するケースもある。利便性では24時間営業が基本のコンビニエンスストアが優位だが、深夜帯を避けて営業するまいばすけっとは夜間の騒音が気になりづらいためだ。
店舗開発の検証を経て「消費者が便利に使ってくれるように出店スピードを上げる」(鵜飼部長)。イオン北海道は22年度、4店舗のまいばすけっとをオープンさせる予定だ。