環境調査と治水の両立実現
十勝川中流部市民協働会議(柳川久代表)は、十勝川相生中島地区に多様な生物の観察拠点となるワンドを復元した。会員企業のアークコーポレーション(本社・帯広)が設計、小川建設工業(同・本別)が施工を担当。整地や伐採によって川の生態系を調査する場を整えつつ、一帯の治水能力向上に貢献した。
ワンドは土砂などの河川構造物により、川端に水がよどむ水域。本川と接するが流れは穏やかなため、魚類や水生植物といった多様な生物が生息しやすい環境となる。
帯広市、音更町、幕別町にまたがる位置にワッカの池というワンドがあったが、2016年夏の台風災害で消失。地形が変化し、一帯は札内川とつながった。周囲にはヤナギなどの樹木が多く、増水時には流れが悪化。治水対策が課題となっていた。
環境調査と治水事業の両立を図るために、同会議は帯広開建と協議し、ワンドの整備を決めた。同会議に参加する帯広工高、帯広農高の生徒らが調査に訪れることを想定して、既存の砂利道をバスが通れるよう広げ、1haにわたって樹木を伐採した。増水時には十勝川の水がワンドを抜けて札内川に流れるようにした。
工事費は70万円で4月18―21日に施工。今後は維持活動としてワンド出口の堆積物除去や樹木伐採を必要に応じて取り組む。
和田哲也理事は「本川に加え、上流には遊水池などもある。比較しながら、どんな生物が居着くか調査することもできる」と期待。長い年月をかけて観察を続ける考えだ。