阿部建設(本社・小樽)などコンソーシアムは12日、「中小建設業のAI化による生産性改革の提言―書類削減の試行―」と題した成果報告会をオンラインで開いた。AI・IoTの活用で監理技術者の労働時間が減らせることを報告した。
阿部建設を代表に環境風土テクノ、北大、立命館大、北海道産学官研究フォーラム、建設IoT研究所で構成するコンソーシアム。2021年度の国土交通省「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択された。小樽開建発注の5号仁木町銀山大橋P5橋脚で、IoTなどを用いた労働生産性の向上を図った。
阿部建設の佐藤昌宏土木部長は、試行工事での映像代用による監理技術者の負担軽減効果について説明。遠隔臨場に抵抗感を持つ技術者がいると分析し、その背景にはモニターの大きさや不安定な通信環境による映像の乱れなどがあるとした。
同社は、ウエアラブルカメラのほか360度カメラ、ネットワークカメラ、スマートフォンカメラを複数台併用し、現場全体を確認できるように工夫。映像を確認するモニターも増やし、より臨場感あふれる映像を見られるようにした。
翻訳レコーダーによる議事録要約自動作成、写真計測による3次元再構築、書類の作成を映像記録で代用するなど、AI・IoTを活用する試行に取り組んだ。
この結果、監理技術者の労働時間を1日当たり2時間41分減らせることが分かった。佐藤土木部長は「負担軽減に有効で、実践できるものと期待する」と話した。
このほか、推進室を設けてDXを積極展開する堀口組(本社・留萌)の湯浅勝典常務が自社の取り組みを情報提供するなどした。